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2018年12月25日火曜日

2018総括? 振り返れば、災害と運送問題で日本経済沈没

2018年は、兎に角、災害が多かった。 弊社の本社も、9月の台風で看板や屋根の一部がはがれ落ちて、12月の今現在も工事待ちの状態。 幸い、ケガ人が出なくて良かった限り。 1月中旬から足場を組んで、看板の付け替えと屋根の修理が開始されると報告あり、安心するも災害だけは予定に入れることが不可能。 仕入先やお客さんでも同様だった。

運送問題は、来年も続く。 値上げや荷物をもっていかないという交渉が、年明けからもあるとか。 既に、値上については限界値を超えたので、海外で製品にして、コンテナで一括納入という会社が増え、中小の物づくりは益々難しくなるし、倒産も増えると予想しています。 株が下がる要因には挙げられていませんが、私どもは運送会社の対応がおかしくなった時点で、景気の流れが変わると理解していました。 消費型では日本は生きていけません。 資源があまりにもない。 輸入して加工して輸出する経済で、国内需要が生まれている。 運送が日本経済の血流という気概がなくなった今、行きつく先は理解しやすい分、悲しい限りです。

実習生の受け入れ拡大も、酷い内容です。 強い業界団体は許され、そうでない業界は受け入れ不可能です。 特殊技能と位置付けますが、大手の流れ作業のどこが特殊なのか。 中小の方が小ロット多品種で、俄然特殊技能が必要です。 それに、レジ打ち程度の能力の人は要らないといいながら、日本に志を持った外国人の学生さんがアルバイトしてくれて成り立っている。 もう、コンビニ店員を日本人がやらないではないか。 何のための実習制度か、この時代に建前で顔色をうかがう政治が理解できない。

飲み屋で、隣の年配の方が、コンビニは外人だらけでよ、おかしいよな!と言っていたが、志をもって日本で、大金を使って勉強している彼らの方が、海外へチャレンジできもしない、権利バカリ主張する日本人の同世代の方がおかしい。 アメリカの弁護士の卵のドラマで、数日寝られない程の調べものが出来ないと言ったら、明日から来ないで良い!と言い切られていたが、弁護士だけでなく、プロの仕事は皆共通だ。 アメリカにいた時代は、それを沢山みてきたし、それを乗り越えて始めてキャリアが構築されている。 欧米では、これだけしか働かない、日本もそれを見本にしろなんて、そんな、データでどうして一番になれるか。 経済の強いアメリカのような、実力社会の部分は全くマネできないくせにだ。 国際競争の中に、日本がいることを忘れていること、それを懸念した2018年でした。

2018年11月8日木曜日

植物系=バイオ=やさしい?

バイオ系(植物系)で化学重合させて、樹脂精製する商品が大手車メーカーなどで採用されていてホットアイテムとかいう話が、ここ十数年ちょくちょく出る話題。

ミドリムシから石油という話題もありますが、現実はコストのかかる話です。 一部のニッチェをカバーする程度で、代替するという話からは遠いと考えています。 そもそも代替ができないのに、石油を悪だと決めつけてかかる必要がない。 75億もいる人類を見捨てるのかという話で、昔の衣食住の生産性では満足に食べられない人であふれかえるのが真の世界です。 石油化学はこうした問題の解決でもあるはずです。 実際、70億の人が着る服を、ウールや綿で補えるわけがない。 石油化学で、化学繊維をつくっているから、衣食住の衣が足りているわけです。

なぜ植物系だとエコなのか、それも意味が分かりません。 石油から色々なプロセスを経て樹脂ができて、それを植物系に対して石油系と呼びますが、色々なプロセス中に生まれる副産物を利用して他の化学物質をつくるのが石油化学であり、出来上がる石油由来の物質には殆ど無駄がありません。 自然だと体にいい? では、毒のあるキノコや生き物は科学で作られたものでしょうか? 植物系がエコ、これほど胡散臭いものはない。

CO2が出るという問題だけに着眼するならば、その植物を作っているフィールドで、どれだけの食料が作れるか比較してエコを議論する方が、生物にとっては大事なことになります。 石油から樹脂が取れるのに、食料を犠牲にして得る植物系樹脂をエコというのは解せません。 室内で野菜が作れるといいますが、これも、温度管理や栄養素を与えるなどで莫大なコスト=エネルギーを使っているわけです。 容だけのエコに振り回されてきたので、私は、植物系=エコという考えについて、真贋を冷静に見つめて行きたいと思います。

2018年10月20日土曜日

レジ袋有料化に一応疑問提起

日本では、レジ袋が一人当たり年間300枚とか。 それで、有料化して減らして環境に良い事という。 ちょっと待ってくれ。 その300枚の袋に入れる、買った物のパッケージの量、特に重量比でいったら、レジ袋の300枚はどれだけ少ない事か。 

ラッパを吹いてやってくる自転車の豆腐屋さんに、桶やボールに手ですくった豆腐こそが環境にやさしい。 その世代も少ないか。

リサイクルすれば、消費し続けて良いのだ!という考えもおかしい。 輸入品の椅子に張ってある直ぐにボロボロになるレザーよりも、長く使える安心の国産レザーだからこそ、環境にやさしいのだ。 長く使えるこそ、最初に評価すべき環境対策ではないかな。

建前ばかりの環境にはうんざりだ。

2018年10月5日金曜日

運送会社に怒りを通り過ごした何か

強硬な運賃値上げの次は、締め切り時間の切り上げ。 夕方まで受け付けていたお客さんの注文が2時半までとなった。 製造しているお客さんから見たら、迷惑だという話ではなく、日本の中小の製造業の危機であることが取りざたされない。

今度は、毎日トラック2車で荷物を取りに来てもらっていたが、1車しか出さないという。
持ち込みも数個しか受けないという。 どこの運送会社同じ対応で、逃げ場がない。 翌日に回すにも、受け取ってもらえない。 本気で、日本の中小製造業をつぶすような話である。

海外で完成品を作って、コンテナで入れたら、材料⇒1次加工⇒2次加工⇒アッセンブリ⇒在庫までの、運送会社の対応問題が解決できてしまうというロジックが成立するからだ。 日本は消費国へ変われということになるが、資源のない国が消費だけでどう生き残るのか。 金融にしても、なんにしても、規制問題を含め、何をやってもスピードが出ない国で、どの分野で戦って大勢の国民を生活さえていくのか。

創業者の方は、運送業は、日本経済の要だ、そういう気迫をもって会社を始められた思う。 今は、消費者に届ける運送が儲かるという全ての大手が実行している流れは、崩壊しか連想できない。

2018年8月28日火曜日

シミ取り、汚れ落とし 結局全部洗わないと

レザーの企画で、艶感を表現するために自分の肌の表情の違いを観察し、その流れで洗剤の研究をしたことがあります。 シミ取りの専用道具がない中では、自分でいろいろ混ぜてつくった洗剤を駆使して、シミを落とすのが得意な方です。 一時はワザと汚して、一生懸命にシミを落として、週末休暇を過ごしたことも。

今回は、椅子の汚れを落とす実演をして欲しいという依頼があって、簡易カメラで撮影しました。 一本は、10年位使ったとのことですから、汚れ以前に、上の細い糸は切れていて、下の糸が見えていることで、余計にその部分が色が違って見えるし、ブラッシングしただけで切れそうなので、これは、即答で張替してくださいとなりました。 もう一本は、平織ですから、非常に丈夫。 全体的に黒ずんでいますし、スポット的にも古いシミがその黒ずみに隠れていたり、一見しただけで大変です。 そちらの落とした結果は、後日別の機会にして、今回は汚れの移動が解りやすいジャガードの例を見てもらいます。

シミ取りは、その部分だけきれいになってしまいます。 衣服と違って使い古した家具では、見た目以上に元の色が違います。 シミを落とすと、そこがスポット的に違う色(元の色)になるので、実際にはシミ抜きではなく、全部の洗浄が必要になってしまいます。 写真を確認してください。 中心の汚れが360度拡散してしまうのが解ります。

一部の洗浄=シミ抜きをしていると、水がしみ込んだ方向に汚れが移動してしまい、輪ジミ(水のしみた円状の外枠に汚れが集中し、より汚れてしまう。)が発生してしまいます。 全体の汚れを落とす必要がでてしまいます。 となると小椅子でも、一本あたり30分以上もかかるので、相当な暇と根気がいります。 椅子に張っていない状態であれば、裏をタオルであてて、多少ですが拡散はここまでしませんが、少しでも移動してしまえば、結局全部の洗浄となります。

これは(写真上)、汚れた状態。 全体も汚れており、さらにスポットで彼方此方がこのように。

これは(写真下)、シミ抜き後。 スポットだと洗浄水で汚れが拡散してしまいます。
見たところ、たばこのヤニ(水で溶ける)、人の手あか(たんぱく質他)。 先ずは、ブラッシングで、ごみを取り除く。 これだけでも結構綺麗になる。 → 界面活性成分が30%を超える中性洗剤を100倍に希釈しって、叩きしみ込ませる → 綺麗な布で押して汚れと残った洗剤共にシミ込ませて取る → お湯を絞った布で、軽くたたいて水をシミませる → 弱アルカリ性(重曹水やセスキソーダ水)で、上記を繰り返す。 → 60度のお湯で酸素系漂白剤を溶いて、上記を一度だけ繰り返す。 絞った綺麗な布に水をしみ込ませ、叩いてすすぐ。 ドライヤーを使ってよく乾燥させる。  *よく換気の効いた広い場所でやってください。
椅子のシミ抜きだと、このように、汚れが広がってしまうのです。
椅子に張ってなければ、裏からバキューム(掃除機で良い)で吸いながら洗浄剤をかけるので拡散は最小限です。 ちなみにクリーニング店では、バキュームは勿論、設備としてついていますが、揮発性のつよい溶剤で洗浄剤を混ぜて使うので、広がる前にバキュームと同時に蒸発してしまいます。

結局のところ、全部を洗う必要があるので、張替が楽ですね。

2018年8月23日木曜日

マイクロプラスチックは次の犠牲か

海洋汚染の元と言われるマイクロプラスチック問題として、環境団体による次のターゲットが出てきました。 なぜかストローから。 多くの人が疑問な筈です。
紙ストローによる森林破壊や水質汚染、また、エネルギー消費によるCO2問題は何処かへ行ってしまう。 環境問題を取り上げる団体の統一感の無さに、今回も疑問です。

ペットボトルの時には、なぜか繊維で再生しろとなった。 ペットボトル業界の問題だから、ペットボトルで再生するべきだろう。 繊維での再生は、無駄の塊だった。 未だにペットボトル業界は排出する一方だから、あのエコ運動に何の効果があったのだろうか、プラスチックのストローを辞めようという動きに繋がったという皮肉なのか。 紙容器も出てきたが、普及していないのは皆が知っている。 紙も無限ではないのだ。

塩化ビニルが環境問題とされた時は、燃やすとダイオキシンが出るから使うなということだった。 正確には、不適切に燃やすなが正しかったのだが。 その際に、塩分を家庭の低い火力で燃やせば、ダイオキシンが出るという事実が判明したわけだが、今日でも皆が、魚や肉を焼いて食べている。 つまり、致死量でなければ、生で食べるより焼いた方が安全だと明確になっていたわけです。 合理性という言葉が正しいのだ。 取り上げ方で、ニュースは恐ろしく業界を蝕み、反対団体には資金が集まりやすくなることがあるだろう。 対策でNGOの環境団体が設立され、天下り、試験や合格マークを発行する基幹が増え、国際競争力がダウン。 国際団体の定める試験と国内の新設試験のコストが2重にかかる始末。 この繰り返し。 今、塩化ビニルはプラスチックの中ではトップクラスの長寿命で環境にやさしい樹脂とされた。 元々優しいとノーベル賞科学者まで言っているのに、迷惑な話だった。

愚痴はここまで。 実は、元々世界人口に対し、天然繊維ではその人類分の衣料や資材は賄えない。 人口増加と合繊(プラスチックの糸)の増加は、関係があるわけです。 綿を増やせば、土の力がそちらにそがれ、食量が減るようなものです。 合繊なしでは、そこそこ裕福な国民が何着も保有する服分の繊維を賄えない。 一張羅の時代に戻るのか。 人間が豊かになる経済の活動と、そうした人工物は密接な関係にある。 繊維の殆どはプラスチックです。 繊維はリサイクル以前に、使用中に繊維が抜けて空気中に舞っている。 太陽光で見えるほこりがあれです。 あれはマイクロプラの元でしょう。 それで人類が滅ぶ問題があったのか。 

実は、マイクロプラスチックが体内に入っても、排出されるだけであることは知られている。 肉や魚を焼いて食べたほうが安全というくらい常識だろう。 海でつく菌が検出された、だから問題だというが、海の水を祖のまま飲んでいる人は%で言えば、いないと一緒。 水自体、熱処理やフィルターを通している。 そのまま飲んでいる人がいるなら、そこを解決する方が正しく合理的だ。

そのうち、皆さんに服は1着だけ買って良し、買ったら最低5年は着ろとなるのか。 サステイナブルという言葉が環境で良く使われているが、マイクロプラスチック問題とされるものが、人類増加の問題とできるのか。 ストローの次のターゲットを静観したい。 

2018年8月10日金曜日

輸入ファブリック負担の問題

先日、丁寧な仕事をする業務用椅子ブランドメーカーさんが破産しました。
ヨーロッパの曲木の老舗の総代理店としても有名でした。 柄合わせが微妙にずれているだけでも張りなおす現場には関心していましたし、丁寧さで抜群の現場でした。
しかし、兼ねてから私共社内では、ここがダメだねという点で、何時か足を引っ張るとして報告項目になっていたことがあります。
それは、輸入ファブリックの在庫です。 仕事が順調な数年があると、流動比率が改善し、現金保有が増加します。 結構な額まで育つので、経営陣は自社をお金持ちと錯覚する。 実際には、事業ですから、究極に悪くなることがあるものです。 そうしたときに、主業である椅子の販売に力をいれるお金が、材料の在庫に変わっていて、どうにもならない事態になっているものです。 小さければいいのですが、輸入ファブリックは、思っているよりもコスト増につながっています。 関税など先払いして現金が出ていくので将来価値の方が現在価値より安くなってしまう、3色やれば2色は死に在庫になり、回転しているようで実はその資金が寝ていて、資本的な活動をしてくれないのです。
我々の同業のファブリックの専門会社の殆ど倒産していったのは、回転の悪さと死に在庫。 現在とて、我々プロが細心の注意を払って、商品の出入を監視している位怖いのです。
某破産メーカーには、使わなかったファブリック、数メートルの残骸などが山の様にありました。 おそらく、仕入よりも、かなり高く売ったので回収していると思いこんでいるでしょう。 その利益は、その年の他の経費で消え、利益になっていても半分はその年の税に消え、今あるものは現金の様に帳簿に乗る。 
55年近い経営の中で、たくさんの浮き沈みを見てきましたが、企業には必ず危機的に悪くなる時があるものです。 その時に、使うべきお金なんなのか。 その使うべきお金こそが、普段から活動につかうべきお金の使い方。 直接輸入すると安いと勘違いして、前払いして在庫するべき物ではないのです。 過去、輸入ファブリックの直買に手をだした企業で、一時に悪くなると、その多くは、その在庫を弊社に引き取って、弊社でデリバリーしてくれと依頼してきました。 実際に、引き受けてきましたし、常に引き取る用意があります。  結果的に、当時はあれだけ売れていたのに、今はデッドストックだな、という山を二束三文で引き取り、その殆どを処分することになるのです。

2018年7月27日金曜日

起こるべくして起こる家具の事故

2018年7月27日の日経新聞朝刊
アウトドア用品の事故が5年で98件という話。
半分が夏場に集中。
折り畳みいすの劣化した生地が切れて転倒したケースを含め、8件。

椅子に関する内容は大方こんな話です。
NITE 製品評価技術基盤機構 という機関が発表だそうです。
アウトドアの椅子といっても、その殆どはホームセンターで買われている、メーカー保証書がついていないような家具。 安価で、2シーズン以上使えればラッキーな価格帯でしょう。 この場合、撚糸をしていない糸を並べて織っただけで、紫外線防止剤すら入っていないので、そもそも椅子の資材ではない。 頻度多く使わないから、安い方が喜ばれるだろうという発想だけ。 買う側も安いのでクレームしない。 一脚380円から1500円までのものだろう。 頻度良く使う人はブランド品で5000円近い筈。 強化ナイロンを使用したら、もっとするのですが、安物よりは太い糸で、劣化までの時間がもう少しかかる。 注文をくれたら、別注で強化ナイロンで作ってあげますが、数もないので、2-3万円は頂くでしょう。

そもそも全ての家具を同じような目線で見て、良し悪しを言う時代でなくなっている。
2-3世代使えるブランド家具が売れず、4年-5年も持てばラッキーな感覚の椅子やソファが日本中に広がった大手量販店の安価な商品が売れまくっているというのですから。

NITEの責任ではないのでしょうが、2-3世代修理の効く家具を家具となのり、それ以外は消耗家具という区別がないと市場にあっていないのではないでしょうか。

私は2-3世代使える家具を中心に仕事を組み立てていますが、実際にそうでない方しか売れないとなると、考え方も柔軟にしなくてはならないと舵をきったり、新しい会社で対応したりと自身を変化させています。

2018年6月27日水曜日

奨学金返済支援制度の空振りぶり

世の中では奨学金返済に困っている話だらけなので、新卒者にかけていた募集活動費をやめて、入社して頑張る社員に、その募集費用を奨学金返済制度の資金にして無償であげようと決めて、2019年度採用の募集を図りました。 愛知県のめぼしい大学にパンフレットを配って、Facebookで宣伝しましたが応募が殆ど在りません。

継続して募集しますが、ネット応募と募集が大手にコントロールされて、既にシステマチック就職で、つまらない世の中なんだなと考えさせられました。 我々中小企業は、人間力だけで勝負していますから、簡単に出来ますよというのを第一に疑う性格です。 まさに今回は的中でしょうか。

最後には、3-4名は来年の新卒を確保したいと願っています。

2018年3月29日木曜日

奨学金返済支援制度を新卒者に適用

気が付けば、インターネットは疑問を持たないと、あるべき姿でない方向に流されてしまう。 そんな話が新卒募集の方法です。

今は、リクナビやマイナビなど、ネットの専用サイトなるものに登録しないと、新卒の方々が会社説明会が開かれるとも、新卒を募集しているかもわからない仕組です。 学校側に相当な営業を掛けて、学生は当たり前のようにそれらサイトに登録して利用するように仕組まれています。 新卒募集には、そうしたサイトの利用料として1人当たり、100万以上掛けなければ期待できないとまで言われ、私などは、知り合いの社長さんから200万でも足りないと笑われる始末です。

ですから、うちの総務も自動的に予算を組んで、それらのサイトに登録する。 学生は、ボタン一つで会社説明会に応募しますが、NO SHOW です。 一昔前ならキャンセルの電話がありましたが、今は会場に来ない、それだけです。 そうした準備に携わる多くの社員の心や気持ちも組めないシステムに憤慨していました。 そういう声も、それらサービスの会社は拾うことさえできません。 同じように若い方々です。

奨学金地獄が話題になっています。 働いても返せない。 そんな若者がどんなに頑張っても、先にあげた素晴らしいとうたっているサービスを利用して、職務と自分のなんらかの不一致で3年で辞めてしまう。 地獄に地獄です。

若い人が悪いという議論をやめ、冷静に見ると、そのサービスに使う費用を、奨学金という名ばかりの学生ローンの返済を支援してあげた方が良い、そう考えました。 過去の費用と計算すると、概ね1人採用するのに200万円掛っています。 そこで、10年の間に3回に分けて、この先、学生ローンに苦しむ社員になる人に支援金として支給することに決めました。 問題は、告知が自社サイトでしか出来ないこと。 何人の応募があるか未知です。 

2018年3月6日火曜日

新レザー商品 ベストセラー

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ベストセラー について


価格重視で織物調というテーマです。 色が重ねられないので表現が限定されます。
ここでLED。 光をあてながら凹凸を細かく設定していきます。 深みを出して、少ない色味を引き立たせる手法です。 

巾も広い設定なので、値段重視を貫いています。
売らなくても売れちゃうかな、、で、ベストセラーという名称にしています。

2018年2月23日金曜日

新レザー商品 ラブツイード

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ラブツイード について



私の住む地域は尾州産地と呼ばれる毛織物の一大産地でした。 隣の遠州の綿織りも盛んで、つい20年前までは彼方此方で機織り機が動く音がしていたものです。 今は寂しく、大きな工場跡地はショッピングセンターになっています。 彼方此方がショッピングセンターだらけですから、中小も殆ど閉鎖されました。 今は日本生産できる工場がないので、何処かの会社の誰かが手配ミスをして、無理にぶち込まれると、全ての商品の納期がタイトになる有様です。 どんなに品質安定していても、強く要求されていた事実はあっても、安いには勝てずに海外へ移ってしまいます。 品質要求は残酷です。 どんどんコストアップになり、価格は同じでないと売れず、そして、他国が安いとなればそっちへ行ってしまう。 追求すれば、価格が安くて、品質は良くなる!と大手は手本の様にしていきますが、殆どのケースで安くなる分は下請けが被るだけです。 勿論、良いモノをつくり、さらなる利益を求めるが自由経済の掟ですから、そうなるのは誰もが判る話ですし、企業が存続30年を越えられない壁はこうした理由にあるのも判ります。 何かやるせない、やりきれない、そんな悶々とした思いをレザーに託したのがラブツイードです。

撮影時に、本物のツイードがどちらか判別つかなくなる程、ツイードのニュアンスをつかんでいます。 レザーとしての評価よりも、尾州の歴史を評価して欲しい、そうした織物愛やツイード愛を込めた逸品です。

2018年2月22日木曜日

新レザー商品 リリアンヌ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 リリアンヌ について



子供の頃は、駄菓子屋さんが最高にテンションが上がる場所。 私の時代は、10円、高くて20円のお菓子。 振り返ると、当時は思っている程、ボランティアでなければ出来ない商売ではなく、家の留守がてらに省スペースで切り盛りできる商いだったのかな。 高度成長期とはいえ、寅さんの時代だから、小市民の所得はそれほど高くなかった。

その中でもリリアンは30円。 子供の手に握るサイズの筒の円周に釘が数本差してあって、それに糸を引っ掻けていくと、小型丸編み器の役割をして、筒の中心から編まれた糸が出てくる仕組み。 今でいう、ミサンガみたいなものかな。 手に巻いたり、首に巻いたりして女の子の遊びだった。 私は沢山の姉と妹しか居ない唯一の男でしたから、一緒にいる中で、大方の女の子の遊びは熟知しています。 リリアンも嗜みました。 

椅子張りの業界に入り、椅子張り用の糸のむずかしさを知ります。 簡単に言えば、シャツの糸は細いですが、あれの何十倍も太い糸にするには、何本もより合わせて太くしながら、また、撚ることで強度を得ながら作りこみます。 シャツが3000円で、なんで椅子張が3000円なのか不思議ですね、それだけ資材には利益がないのです。 繊維系は多く売るビジネスモデルなので、例え10%の市場がなくなっても、負担は大きく、大手繊維が繊維事業から撤退し、どこも化学会社だと言い張るわけです。 このリリアン糸は、糸を撚って太く強くするのではなく、編んで太く強度を上げるという全く異なる発想です。 傷のリスクも高まるので、リリアン糸を使うと一般的に高価な織物になります。

過去は、レザーでそのニュアンスを試そうとは思いませんでしたが、リリアン糸は綿混が主流で毛織では見かけません。 そこで、ウールっぽさを加味したら、リリアン臭さも消えるし、テキスタイルのコピーにならないと閃いて、企画テーマに挙げたわけです。 素朴に仕上がったので、業務用だけではなく、注文家具でも違和感がない良さが出ています。 シボの谷が光るので、暗めの空間でも存在感がでます。

2018年2月21日水曜日

新レザー商品 フランドル

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 フランドル について

椅子張の織物で、ウールフェルトやウールフラノは、要望はあっても全く売れません。
”あったらいいな”と”売れる”とが、これだけかけ離れるのが、椅子張りの世界。 相当ニッチェな所に、相当なニッチェ要望です。 そもそも、高級品の製造ロットに対し、高いと要らないという数が勝ってしまうのが日本製。 今でも、海外織物が良いという伝説が生きています。 マジックでないペンをマジックと呼んでるのと一緒でしょうか。

雰囲気だ欲しいという要望でもあり、レザーで再現するアイデアは20年近く持っていましたが、デザインサイドから提案されていたアイデアの中に共通テーマがあり、じゃあ本気でやってみようというのが始まりです。 途中、あいまいという基準が難しく、これなら合格でしょうという明確な点数がブレてしまいましたが、製品化にこぎつけました。

あいまいな感覚は、椅子にすると殆ど主張しませんので、デザイン重視の空間や椅子ではその特性が活きるようです。 沢山のファンがついてくれることを願います。

2018年2月20日火曜日

新レザー商品 ボンボーン

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ボンボーン について


ボンはフランス語の良いという意味と、中国式に二つ同じ漢字を重ねると強調するという法則と、日本語の語呂の良さの3つを合わせて、ボンボーンという名称にしています。
日本語に訳せば、いいね、いいねっ! 小さい「っ」が、ボーンでしょうか。

色んな色で試したのですが、プリント版が懲りすぎてて、思った色を出すのが困難。 やりすぎたかな感が後味に残りました。 しかし、椅子に張ると、生地と見分けが付かないほどプリント版の数と重なった部分の色とが錯覚になって、普通のレザーにない深みが出ています。 さらに、Ag抗菌や防汚機能を付加たので、看板商品になって欲しい思いも加えています。

2018年2月19日月曜日

新レザー商品 カラカイ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 カラカイ について


椅子張りレザーでは、皮革で連想すると牛ですね。 ドイツやイタリア家具が手本とされてきたからでしょうか。
両国ともに本革生産でも有名です。 日本では、古くから鹿革や魚革が使われて来ました。 魚の革といえば、紙やすりの様に木を削るのに鮫革が使われていたり、今でも宮大工さんが一部で使用したり(デモンストレーション?)、すりおろし器にも使われていますね。 鱗の代わりなのでしょうか、エナメル質が強いので、皮というか、細かい骨みたいなものですから、研磨に向いているのでしょう。 生命進化では、こういう皮から鱗に進化したでしょうか。 さておき、エイの革は、昔は刀の滑り止めとして定番です。 柄に巻いてある紐の下に隠れているゴツゴツした粒。 あれがエイの革ですね。 江戸時代には飾り化していくので、機能面だけではなく、きっとデザインの一部としても重要だったと思います。

私の工房 惹伽銑(じゃかずく)では、あらゆる皮革を買い付けては、レザーに取り込む様に勉強しています。
エイの革は、背骨沿いの極少ない面積だけが仕様可能で、皮革の中でも、梅花革と書いてカイラギと名称が存在しています。
椅子に使おうとすると、小さい椅子の座面だけでも、6枚以上必要で大変に高価であることが判りました。 そこで、レザーにそのニュアンスを反映させて、新しいテイストが生まれないかと考えて、エイ革の鞣し方法から探りました。 デザイン的には新しいが故の不思議さがありますが、本物の刀剣の柄を沢山見た限り、良い部分の特徴は捉えて再現できたと思います。 牛革であることに疑問を持ち、あらゆる革にチャレンジすることで、牛革タイプのレザーも、より進んだ企画になると思います。 まだまだ、やれる事だらけで休ませてもらえません。

2018年2月16日金曜日

新レザー商品 アニリス

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 アニリス について




実は、過去、本革に似せるレザーを作っては販売してきましたが、ことごとく売れず惨敗の繰り返しでした。 単純にシリコンで本物から型を取って押し型ロールを作っているのに等しかったかも知れません。 今回は、アプローチを人の目がどうしてそれを本物と思っているかに着眼しています。 その要素を言葉にし、本革の写真を拡大して、この要素ですと説明。 工場サイドが自身を持ってこれで如何?と仕上げてくれたものです。

これなら、商品化する価値がある、失敗はしないだろうと判断して決めました。 アニリスの現物の様子を高画質の写真でとりましたが、印刷の制約上、高画質写真のような精度よい紹介ができないのが残念ですが、小さな貼り布サンプルでも、そのリアリティを感じられると思います。 きめの細かい素革の様子を目が撮れている筈です。

小椅子ではアンチークからモダンどれでも対応でき、大きな椅子ではデザイナース椅子の張替でも充分に応える質感があります。 高級椅子に耐えるレザーはそうありません。

新レザー商品 ノビルZ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ノビルZ について

伸びるレザーは、裁断型に神経を使いすぎなくても、張り上がりで縮んでくれ、椅子の容にフィットしやすいので、量産メーカーさんの現場で評価が高い傾向がありました。 一方で、量産する数が多品種化する中で量産といっても、一本一本の張材が違う細かい対応になってきています。 そうなると、同じ椅子でも異なる伸び率のレザーを同じ型で裁断するのが手間になり、伸びるから喜ばれる単純構造ではなくなっていると思われます。

では、何で伸びる新商品か? 量産よりも、寧ろ、椅子屋さんが対応している現場張替えや、日にちの無い納期での手離れの良さを提供したいという考えです。 z(ゼット)は、社内ではゼーっと発音しています。 伸びるぜ~っは、今在庫何反?という感じで使っています。 きっと、手離れ良くなるZと期待しています。

新レザー商品 ノスタルジャン

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ノスタルジャン について

大正や昭和をテーマにしたアンチークに落ち着きましたが、勿論、企画の括りは普通にアンチークから始まっています。 昔は、モールドウレタンの椅子が業務用の回転いすの分野で多く売れました。 モールドウレタンは型で成型するので、型に大きな投資が必要で、主に高級ソファに使われた技術ですが、麻雀の椅子やカウンターの回転椅子向けに大量生産したことで普及し、良く売れたと聞いています。 丸みが強いので、綺麗に張るのが難しく、椅子職人さんが技量差を発揮できる椅子でもありました。 モット簡単に綺麗に張れるように伸びるレザーを盛んに研究し、今日の標準レザーの伸びになるのもこの頃です。

今回は、アンチークコンセプトのお店だけでなく、古い椅子の張替で自然に馴染むように色付けをしました。 小さいサンプルでは判りにくいのですが、昭和らしい昔の椅子に自然に馴染むまで、微妙な色の変化を何度も調整していますので使いやすいです。 幅も広く、ベンチに使えます。 

2018年2月13日火曜日

新レザー商品 カフェフォルテ・モコモ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 カフェフォルテ・モコモ について


絞=シボ=皮革の凹凸 ここでは、PVCレザーの表面をシボと呼んでいます。
基本的には、本物からシリコーンで型をとって、型押しロールに直すのですが、本物からですとロール状に直したとき、一回転した上下が会わない、また、左右の繋ぎ目が合わないのと艶が違うなどが発生し、難しいを極めます。 シリコーンは正確に読み取るので、人工的に加えて均してしまうと、手を加えた所が不自然になるのです。

カフェフォルテ・モコモのシボも、実際にキルトをつくり型をとるのですが、説明以上に難しいのです。 リアル過ぎると偽物っぽい、こういう現象も起きます。 対象物を見て、実際にロールにするには、どれくらい難しいかを含めて、ジャッジします。 ですから、私も経験を積む為に、ホビーとしてシリコーンの型取りをします。 普通、そう聞くと、皆さんはアクセサリー作りや模型づくりと思うでしょう。 私の場合は、深い意味なく、面白そうなら型をとって、ロール化するにはどうしたら綺麗になるかを考えるだけ。 例えば、ピザでマヨネーズたっぷりのをみると、そのモコモコを取りたくなったり。 亀の甲羅とか、ステンレスのキズとか、何でもです。 最近は、見るとロール化した後の想像ができるレベルが高いので頻度は減っています。

カフェフォルテ・モコモについては、元が無地のフラットなシボですが、張ってもらうと”良いね”ですが、中々張ってもらっていません。 そこで、モコモコ感を持たせ、カジュアルの安物っぽさを消すために重厚な色を重ねています。 シボの低い部分が強調され、高低差が錯覚で生まれます。

2018年2月9日金曜日

新レザー商品 オーラン

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 オーラン について
















複数の企画が入っています。
1. リピートの無い柄レザー
2. 夢を実現する人の思いをデザインに反映したい
3. 日本独自の意匠

幾つか候補のあった中、襖絵の取材の中で唐招提寺の襖絵に決めました。 東山魁夷作があり、各地で展示公開があり盛り上がっていたのも切っ掛けです。 NHKなどの特集もありましたね。

鑑真和尚は、日本に戒律の制度を作る夢の為に視力も失います、ドラマチックな人生であり、教訓であり、圧倒的な存在です。 東山魁夷さんは一生懸命に勉強解釈し、緻密な計算を重ねて、襖を書き上げました。 私は物まねではなく、椅子の中にもそうした宇宙観を取り上げたいと思い、リピートの無い企画をあてこみました。 プリント版は同期させて色々な色を表現しますが、今回は意図的にランダムにし、偶然に重なり合う色から生まれる違う色、深みで人生を表現したかったのです。 これも工場なかせとなりました。 何度もトライして貰い、良い物ができるまで帰らないと居座る私。 それだけに、色と深みは素晴らしいモノがあります。

ゴールドのL-2037は、LEDのダウンライトで黄金のように輝きました。 ヘッドボードなどの大きい面積だと迫力が増します。
緑のL-2038は、山の色です。 真夏に岐阜の山奥に色を取材しました。 朝と夕でも表情が違いますが、360度山に囲まれますと、生き物に厳しく見つめられたような感覚で圧倒されます。 取材時の色が完璧に再現できています。 
青のL-2039は、海の色です。 波の表現ができるか、やや心配でしたが、意図した以上の表情が出ています。 どれも椅子に張って、LEDライト下で商品をみると、類のない迫力が出ています。 どれも、日本ならではの解釈であり、自分の不安やブレなど、実はたいしたことのない悩み全てが封印されたような仕事となりました。 売れる売れないよりも、使って頂いた方々が、同じように要らぬ思いを封印できると、デザインに込めた思いが伝わったことになり、工場をはじめ我々が嬉しく思える商品です。

2018年2月8日木曜日

新レザー商品 アイビーヒルズ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 アイビーヒルズ について

元々チェックの企画です。 チェックは、元が織物柄。 タテに巾の違うストライプを何本かならべ、横糸も同じ順番と巾で打ち込むとチェックができます。 レザーでは、それを絵としてチェックを作るわけですが、かわいいという基準はあっても、椅子らしさにかける。 主役が椅子にならないので、私自身が好きでないという方が正しいでしょうか。

チェックと聞くと、タテ線、横線が交わって四角い柄がでる、あれ、を想像するでしょう。 アイビーヒルズの原型は、クロスチェックと呼んでいて、糸一本が一本の線という考え方で柄作りをしていきます。 其の為に、糸は太いことを前提に、絵を書いていきます。 異なる糸が交わる所に色の変化が生まれ、L-2035色の場合でいえば、青の中にエメラルドグリーンのような特殊効果が協調されるようになります。 言うは易しで、ベースの白系ベージュが強いと、LEDなどにあたると白っぽいいすになってしまう。 程よく線が面積を埋め尽くさないとなりません。 各工場のデザイン担当で競争してもらい、その線を何度も書き直し、思った表情がでるまで繰り返しています。 皆、それぞれ、クロスチェックの完成度は高かったのですが、椅子にした時に各面が整って見えるように手を加えられそうなものが選ばれた今回の最終図案です。

それでも、物足りず、シボの選定に苦労しましたが、椅子張デザインとしては究極レベルに到達したものが出来ました。 主役になりすぎず、椅子そのものを引き立てる良い柄です。

チェック&チェックした柄が良いと言われれば、「ああ、私の所ではやってません。」としか言いませんが、チェックを超えるチェックが欲しいといわれれば、これがうち自慢のチェックですと言い切ります。

 

新レザー商品 ノエルゴヘイ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ノエルゴヘイ について

シャバクロと同じ企画テーマで進めましたが、何処にも共通性が見えないと言われそうです。 シャバクロが水や空気、そこに草木を含めた生き物が描かれる、つまり主役ではありません。 ノエルゴヘイは、葉が主役です。 主役が虫に食われていたり、それでも、新しい葉の芽が埋め尽くしている生命の強さを表現しているつもりです。

シャバクロと同じように、絹目の生地に絵を書いたように、色を重ね塗りしたときの絹目の濃い線が葉柄全体を覆い尽くしています。 そうした生地と柄の関係や形而変化すべてがデザインだという考えも日本らしいと私は考えています。

椅子の背裏をノエルゴヘイで、表を無地でという組合せも素敵ですし、全体をノエルゴヘイで張って頂いても、目立ち過ぎず空間に溶け込むように色調整をしています。 


2018年2月6日火曜日

新レザー商品 シャバクロ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 シャバクロ について

シャバクロは、マニエラと和を融合させる試み
伊藤若冲の作品を3年間取材し、絵の素晴らしさの背景には、膨大な下準備があることに気が付きました。 絹織物に絵が描かれていますが、絹のベースに裏と表から大きな刷毛で違う色を付けてあります。 刷毛と刷毛が重なるポイントが、マニエラのスラブ影を和にしたような線が断片的に浮き出てきます。 それが深みに奥行きをもたらし、若冲が其の上に、何処までも深く、そして、限りなく重く筆を運び魂を吹き込んでいく。

シャバクロは、膨大な量の取材と研究で、要素を取り出して再現させています。 工場サイドのデザインナーがそれを落とし込んで、現場が再現の手間を掛けて仕上げていく。 日本ならではの分担的、また、職人技的なレザー作りです。

完成度が高いのは、そうした重さと深さをレザーで表現できているからこそです。
娑婆の玄人から、しゃばガエルを私がボールペンで走り書いて、デジタルに落とし込む作業と細かい修正は現場でしてくれました。 目をロンパリにした元絵、これは、彼方此方見ている様だったのですが、可笑しいですとのことで、直されてしまいました。

訪日客が多いスペース、少なくなった和のスペースだけではなく、マニエラをお使いいただいている商業スペースで確認していますが、マニエラのグレードアップ版にもなります。


2018年2月5日月曜日

新レザー商品 コードカーフ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 コードカーフ について

紐状の物体をコードといいます。 カーフ(牛)は、生後6か月くらいまでの牛さんの皮革です。 よく肌のきめの細かさなどで良いモノを思われていますが、我々椅子の資材からすると、生きている間につく擦り傷や切り傷、虫さされや皮膚病の跡が少ないというメリットがあります。 勿論、新商品のコードカーフは牛ではありません。 PVC樹脂で模したものです。 (こう書かなきゃならない時代が情けないですね。プロの目で見てもらえないのは悲しいものです。) 食品サンプルは美味しそうにが求められますが、我々の”模す”は、椅子に張った時に牛革の良さを表現することに注力します。 例えば、ハリ。 テンションというか、きめ細やかなコラーゲン層を伸ばした時の感じというのでしょうか。 ですから、コードカーフは、椅子にピンと張った時の様子、平たいコードが一本一本伸びている所を表現しています。 だから、財布や鞄などに使う型押しロールと全然違うモノなわけです。 プロと素人の違いです。 素人は我々のライバルでもないのに、第三者からライバルと言われることが多い、インテリアの何でも屋さんのこと? 安ければいいという傾向の問題ですね。 サンプル帳の13ページですね。 写真は乗せませんので、そちらを参照してくださいね。

新レザー商品 クロコ・ドルチェ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 クロコ・ドルチェ について

大ヒット商品のドルチェ・マキシマの後継です。 ドルチェは、不甲斐ない事に、企画段階で拘り過ぎて、製造が難しかったに尽きます。 一つは、伸びる人工皮革を作るむずかしさ。 表面よりも裏です。 ポリエステルの親戚にあたるPBT繊維を採用し、ウォータージェットという織機で超高速で織るのです。 ウォータージェットとは、横糸を端から端まで飛ばして経糸に貫通させるのですが、水鉄砲を糸と一緒に撃って、飛ばすわけですね。 水でぬれると強くなる繊維、つまり綿には良い織機です。 熱ももたず、高速でも切れにくい。 勿論、ポリエステルでも静電気が起こりにくいので高速でも絡まず綺麗に織れます。 問題は、糸が太いことと、高速すぎて、大量生産すぎること。 さらに、起毛して毛を整えるためにカットしますが、この時は乾燥しているので静電気が発生し、見えないレベルの繊維のクズが起毛面に付着してしまいとれません。 これがレザーに移って、表面が小さな毛だらけになる。 色が茶と黒ですから見えてしまうのです。 作っても作ってもNGで、何時までに欲しいというお客さんの要望に対し、納期が出せなくなってしまいました。

後継で新商品のクロコ・ドルチェは、伸びる人工皮革をやめ、従来の織物基布に換えました。 デリバリーを重視したのです。 一方で、顔については拘り、細部が判る細かいプリントを重ねています。 単純なクロコと違い、日本人が気が付く細部の違い、深い色が楽しめるわけですね。 別注色対応を載せたのは、クロコでは別注色の要望が多いからですね。 出来ますか出来ませんかの対応が大変です。 試験的に、別注対応化をしました。

2018年2月1日木曜日

新レザー商品 アナスターシャ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 アナスターシャ について

137cm巾のレザーは、122cmに比べると、最初に意図したデザインと比較するとデザインの再現精度が低くなりやすい。 幅がある分、製造中の熱やたるみの影響を少々強めに受けるからです。 そういう意味では、シボによる柄物が中心になりやすく、インテリア系の会社が企画すると、レザーデザインのプロの目からしたら、おもちゃレベルのデザインが殆ど。 この程度で、良くデザインというわ!というと怒られそうですが、プロの目は何が簡単で何が難しいか等の要素が入るので視点が違うんですね。

綺麗な柄で綺麗な色、そんな程度で評価されたら我々プロは恥ずかしい。 言われたくない褒め言葉ですね。 実際は、色は綺麗でないけど、柄も飽きないし、長く使えて安心だわと言ってもらう方がドラが大きく叩かれたように心地良い。

アナスターシャは、シボは誰でも作れるようなものですが、それにプラスして、光の反射を加えています。 更に、柄は古墳などにあるようなかすれた線で、ツタ柄を加えて、椅子のサイズや椅子向けにまとめています。 柄は、イスタンブールの遺跡を取材した時にかすれ感でヒントを得ています。 弊社のデザイナーが、私からかすれ感が違う!っと30を超える数十回もダメだしをくらって、大変な思いで作業してくれたものです。

結果的に、満足行くデザインになりましたが、137cmである苦労を表現したく、12%幅広というロゴを考えて、実際に12%のコストダウンが出来る旨を明示したわけです。 色は、実際に椅子に張ってみて、良かったものに絞り込んでいます。 バリエーションを赤青黒の様な解釈はせず、バリエーションは張ってかっこいいモノという解釈にしていますから、何でこの色なの?と聞かれても、カッコいいから張ってみてよ。というしかありません。 実際かっこいいですから。

2018年1月31日水曜日

新レザー商品 ロイス・プルビエル

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ロイス・プルビエル について

千鳥柄がテーマなんです。 英語では、Houndstooth Check という定番柄ですね。
日本では千鳥が飛んで連なっている印象でついていますが、ハンティングの盛んなイギリスでは、猟犬の歯に例えているんですね。 柄って解釈が面白いですね。

定番柄が厄介なのは、主役すぎるんです。 椅子が主役なのが資材の役割なんですけれど、椅子に勝ってしまう。 そして、定番なのに流行が定期的にある。

其の流行も、千鳥格子のサイズ違いだったり、色目違いだったり、方向違いだったり、何かしら変えているので、定番なのに流行時はそれじゃない現象が起きてしまう。 それだけに、取り上げるに足りるテーマだったわけです。

悩んだ末に、ウールで千鳥織って、お湯を掛けて揉む、フェルトのようなボケ感をだして、主張を消そうという試みです。 私は元々が織物でキャリアをスタートしているので、織物の発想で考える時があります。 今も織物も企画開発するので、同時進行しているとめちゃくちゃな指示になることもありますが。

そうして出来た柄です。 商品名のロイス・プルビエルの由来は、Pluvierは千鳥 ROYCEは人名からですが、Low Chair = ろーいす の造語ですね。

サンプル帳の写真は、居るかな?居ないかな?って、古いドアノブの鍵穴から覗いた、可愛い彼女の部屋をイメージしていますよ。 魚眼レンズで撮りました。

2018年1月30日火曜日

新レザー商品 ガルネリ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
冒頭の商品開発 ガルネリ について

良く聞かれるのが、新サンプル帳の冒頭の商品は、最初の頁に来る新商品を意図して企画開発するのか? という質問です。
応えは、YESでありNOです。 開発テーマは、自分の足で稼いだ市場の情報及び2年前に設定されるカラートレンドの過去数年分の実態分析を中心に構成されます。 企画開発部にて独自のトレンドを出して、開発テーマとトレンドをぶつけて、開発する商品毎にコンセプトや合格点の設定をします。 

商品開発中は売れるか売れないかという点を考慮していると、何時までも合格が出せず、いつまでも開発が終わらないので、コンセプトシートを作る段階で、合格点を決めておきます。 合格点以上に成って、こだわりすぎても、芸術品化するだけで実用性と関係が無いことが殆どです。 企画開発担当者は、学生時代を含めて継続的に美術を勉強しているため、時に芸術品を作ってしまう悪い癖があります。 私も毎年美術に関してテーマを決めて勉強していますから、私とてそういう罠にはまった経験があります。

前サンプル帳からこのサンプル帳開発迄の美術勉強では、伊藤若冲、東山魁夷、イタリア美術、民芸運動でした。 自分が消化するまで取材を重ねているので、筆のタッチまで頭に入っています。 皆さんは、筆をどちらに動かしたかなんて興味が無いと思いますが、利き手とブラシの方向、勢い、色材の粘度などで、表現が全く変わります。 其々のエッセンスを得るためには、表現方法とその結果を読み解くのが大事ですし、美術品の見方が人それぞれで、楽しさの違いなわけです。

ガルネリは、絵に数か月かけています。 基絵は、まる描いて、ここにこんな鳥、ここにこんな花、織物でいうと何番手の糸を縦糸に4色使い、280本打ち込む色彩とか、本当にバックりな指示です。 次に鳥の種類が企画から提案され、選定し、大方の材料がそろった段階で絵を書く工房に依頼。 手書きで第二弾の基絵にアップし、さらに工房に具体的に羽の印象や色度の違いを修正してもらいます。 第三段階迄で凡そ3ヶ月。 今度は、椅子張のテキスタイル企画の出番です。 椅子のサイズ、タイプを選定して、鳥の大きさや向き等を決めてリピートに直します。 絵のパーツを拡大縮小しながら切り貼りして、椅子向けのデザインに大幅修正するので我々が得意な分野です。 デザインと椅子のリピートは別物です。 こうしてガルネリの第4段階が終了し、今度は、マスクを作ります。 ガルネリでは、綿織物のマスクを掛けて、図柄自体を織組織の凹凸のかげを入れます。 

次に舛見本。 色んな色のパターンを作り、A4サイズ位に色を変えて、プリントしてレザーの上での発色性を確認しながら色修正を繰り返します。 最初の色は1色しか作っていませんから、本当の色付け作業はこの段階といっていいでしょう。 鳥の色も変えてしまいます。 基準は、私の気分というくらい誰にもわかりません。 色は基とゼンゼン違うのは当たり前です。  結果的に、タテでも1mのリピートとなり、もし、織物で同じ柄を作った居たら、到底、価格のつけようのない高額な紋紙代がかかる、出来そうで出来ないモノに仕上がりました。 レザーだから出来る柄と言っていいでしょう。 上代は破格の16000円です。 織物でやっていたら、3倍は貰わないと合わないというか、3倍でもやりません。 労力に会わない。

商品名のガルネリは、ガルネリ一家が製作し残存数が少ない超プレミアム・バイオリンの名称から頂きました。 五嶋みどりさんが使用していますね。 非常に暖かく伸びの気持ちいい音色です。 買えないレベルの高額品ですので、財団所有してバイオリニストに貸与するような楽器です。 是非、無名の工業デザイナー集団、工房 惹伽銑(じゃかずく)が、持てる力を注いだ貴重な柄をお楽しみ下さい。

2018年1月24日水曜日

サンプル帳企画

レザー総合サンプル帳が、2018年1月5日に無事発刊できました。
仮印刷の時点では、QRコードとリンク先が一致していたのですが、本番印刷の際に一部でリンク更新がされずに、QRコードのリンクが出来ていないなどのトラブルがありました。
それでも、HP側の編集で、欲しい情報に届かないという事態は回避できるので、印刷物単体でのミスと違い、デジタル部分は都度修正できるので大きな被害無く助かります。

大変多くの人に興味を持っているため、全体のコンセプトや商品のコンセプトを根掘り葉掘り聞かれますし、色についても、なんでこの色ですかと質問されます。 資材の場合、コンセプトは一方的な思いで、結果的には最終商品となる椅子の使い手さんのアイデアや実物の方が高度で、いまさらコンセプトを説明しても、役に立たないと内心では思っています。 例えば、シャバクロという高度な技術を要する商品では、コンセプトは超一級品の和です。 言い換えれば、伊藤若冲に矢追さん参りました!と言わせる商品づくりがコンセプトです。 ベルサイユでは、尾形光琳に参りましたと言わせようだったのですが、シャバクロの場合は、筆で入魂するような人をぎゃふんと言わせたい。 結果的に、一本一本の線の細さや長さ、カスレ具合など、計算に計算を重ねて行くわけです。 勿論、商品は工場サイドが其の意図に則した再現の為の工夫や色調整が必要ですから、版画の元の絵に対して、版画を作り刷るというのは自分でやるわけではない、共同作業にはなります。

今は、次の企画依頼が、織物系が殆どなので、頭の中は縦糸のことばかり考えています。 どの糸をどう使って、あんな柄、そんな柄を、こう仕上げるにはどう工夫するかなど、眼を開けていても閉じていても、糸と色しか出来ない位、追いつめているところです。 歌謡界の重鎮が引退する、良い物が出てこない悩みを訴えているテレビを見て、心が痛みます。 我々工業デザインは、名前が出ない分知られていませんが、売れなかったら会社が傾くわけです。 その緊張は、途切れる間もない大きなプレッシャーです。 私の企画は、多くの時間と移動を掛けた”取材"に基づくのが特徴ですが、机が埋もれて山のようになる作業の量が、プレッシャーに負けない糧になっています。

取材も7割は終わっているので、あとの3割で何を作るか明確にして、歴史に残る商品を一つでも多く残すよう努力していきます。

2018年1月8日月曜日

2018年 年賀状フェードアウト

年賀状も今年から、紙とFacebookに分けました。
来年から、Facebookとブログだけにして紙の年賀状を辞めることにしました。
理由の一つとしては、おかしな話ですが、年賀状を送った方から、仕事で入手した住所を利用して、年賀状を送られて来ると気持ち悪いのでやめてくれというクレームがあったこと。  社員の方々の住所は、社会保険や税関連の提出には欠かせず、氏名や住所などの個々の情報、申告内容が正しい証として、会社として保証するために実印を押します。
その確認で当然、社員の住所は把握していますし、当然、家族構成や所得も把握しています。 逆に、人の入替えが期待できず、人たらしで社員と家族的に付き合う中小企業にとって、これらの情報は皆の生活を預かる社長にとって、大変重要なわけです。
それが、気味悪いで片づけられるのはという思いもないことはないですが、生きずらい世の中と諦めるよりも、今出来る方法の方が良いだろうとの判断です。
嫌なら、日本を脱出しろということでしょうか。 世界で何処でも、スマホやSNSで社会構造が変わっています。 良くも悪くも。 おかしな方向に言っているのは、TVをみていると良く判ります。 クレームがあれば出来ない。 本質は、それでは道も危険で歩けないと一緒ですけれどね。

引っ越ししました。

 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。