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2018年8月28日火曜日

シミ取り、汚れ落とし 結局全部洗わないと

レザーの企画で、艶感を表現するために自分の肌の表情の違いを観察し、その流れで洗剤の研究をしたことがあります。 シミ取りの専用道具がない中では、自分でいろいろ混ぜてつくった洗剤を駆使して、シミを落とすのが得意な方です。 一時はワザと汚して、一生懸命にシミを落として、週末休暇を過ごしたことも。

今回は、椅子の汚れを落とす実演をして欲しいという依頼があって、簡易カメラで撮影しました。 一本は、10年位使ったとのことですから、汚れ以前に、上の細い糸は切れていて、下の糸が見えていることで、余計にその部分が色が違って見えるし、ブラッシングしただけで切れそうなので、これは、即答で張替してくださいとなりました。 もう一本は、平織ですから、非常に丈夫。 全体的に黒ずんでいますし、スポット的にも古いシミがその黒ずみに隠れていたり、一見しただけで大変です。 そちらの落とした結果は、後日別の機会にして、今回は汚れの移動が解りやすいジャガードの例を見てもらいます。

シミ取りは、その部分だけきれいになってしまいます。 衣服と違って使い古した家具では、見た目以上に元の色が違います。 シミを落とすと、そこがスポット的に違う色(元の色)になるので、実際にはシミ抜きではなく、全部の洗浄が必要になってしまいます。 写真を確認してください。 中心の汚れが360度拡散してしまうのが解ります。

一部の洗浄=シミ抜きをしていると、水がしみ込んだ方向に汚れが移動してしまい、輪ジミ(水のしみた円状の外枠に汚れが集中し、より汚れてしまう。)が発生してしまいます。 全体の汚れを落とす必要がでてしまいます。 となると小椅子でも、一本あたり30分以上もかかるので、相当な暇と根気がいります。 椅子に張っていない状態であれば、裏をタオルであてて、多少ですが拡散はここまでしませんが、少しでも移動してしまえば、結局全部の洗浄となります。

これは(写真上)、汚れた状態。 全体も汚れており、さらにスポットで彼方此方がこのように。

これは(写真下)、シミ抜き後。 スポットだと洗浄水で汚れが拡散してしまいます。
見たところ、たばこのヤニ(水で溶ける)、人の手あか(たんぱく質他)。 先ずは、ブラッシングで、ごみを取り除く。 これだけでも結構綺麗になる。 → 界面活性成分が30%を超える中性洗剤を100倍に希釈しって、叩きしみ込ませる → 綺麗な布で押して汚れと残った洗剤共にシミ込ませて取る → お湯を絞った布で、軽くたたいて水をシミませる → 弱アルカリ性(重曹水やセスキソーダ水)で、上記を繰り返す。 → 60度のお湯で酸素系漂白剤を溶いて、上記を一度だけ繰り返す。 絞った綺麗な布に水をしみ込ませ、叩いてすすぐ。 ドライヤーを使ってよく乾燥させる。  *よく換気の効いた広い場所でやってください。
椅子のシミ抜きだと、このように、汚れが広がってしまうのです。
椅子に張ってなければ、裏からバキューム(掃除機で良い)で吸いながら洗浄剤をかけるので拡散は最小限です。 ちなみにクリーニング店では、バキュームは勿論、設備としてついていますが、揮発性のつよい溶剤で洗浄剤を混ぜて使うので、広がる前にバキュームと同時に蒸発してしまいます。

結局のところ、全部を洗う必要があるので、張替が楽ですね。

2018年8月23日木曜日

マイクロプラスチックは次の犠牲か

海洋汚染の元と言われるマイクロプラスチック問題として、環境団体による次のターゲットが出てきました。 なぜかストローから。 多くの人が疑問な筈です。
紙ストローによる森林破壊や水質汚染、また、エネルギー消費によるCO2問題は何処かへ行ってしまう。 環境問題を取り上げる団体の統一感の無さに、今回も疑問です。

ペットボトルの時には、なぜか繊維で再生しろとなった。 ペットボトル業界の問題だから、ペットボトルで再生するべきだろう。 繊維での再生は、無駄の塊だった。 未だにペットボトル業界は排出する一方だから、あのエコ運動に何の効果があったのだろうか、プラスチックのストローを辞めようという動きに繋がったという皮肉なのか。 紙容器も出てきたが、普及していないのは皆が知っている。 紙も無限ではないのだ。

塩化ビニルが環境問題とされた時は、燃やすとダイオキシンが出るから使うなということだった。 正確には、不適切に燃やすなが正しかったのだが。 その際に、塩分を家庭の低い火力で燃やせば、ダイオキシンが出るという事実が判明したわけだが、今日でも皆が、魚や肉を焼いて食べている。 つまり、致死量でなければ、生で食べるより焼いた方が安全だと明確になっていたわけです。 合理性という言葉が正しいのだ。 取り上げ方で、ニュースは恐ろしく業界を蝕み、反対団体には資金が集まりやすくなることがあるだろう。 対策でNGOの環境団体が設立され、天下り、試験や合格マークを発行する基幹が増え、国際競争力がダウン。 国際団体の定める試験と国内の新設試験のコストが2重にかかる始末。 この繰り返し。 今、塩化ビニルはプラスチックの中ではトップクラスの長寿命で環境にやさしい樹脂とされた。 元々優しいとノーベル賞科学者まで言っているのに、迷惑な話だった。

愚痴はここまで。 実は、元々世界人口に対し、天然繊維ではその人類分の衣料や資材は賄えない。 人口増加と合繊(プラスチックの糸)の増加は、関係があるわけです。 綿を増やせば、土の力がそちらにそがれ、食量が減るようなものです。 合繊なしでは、そこそこ裕福な国民が何着も保有する服分の繊維を賄えない。 一張羅の時代に戻るのか。 人間が豊かになる経済の活動と、そうした人工物は密接な関係にある。 繊維の殆どはプラスチックです。 繊維はリサイクル以前に、使用中に繊維が抜けて空気中に舞っている。 太陽光で見えるほこりがあれです。 あれはマイクロプラの元でしょう。 それで人類が滅ぶ問題があったのか。 

実は、マイクロプラスチックが体内に入っても、排出されるだけであることは知られている。 肉や魚を焼いて食べたほうが安全というくらい常識だろう。 海でつく菌が検出された、だから問題だというが、海の水を祖のまま飲んでいる人は%で言えば、いないと一緒。 水自体、熱処理やフィルターを通している。 そのまま飲んでいる人がいるなら、そこを解決する方が正しく合理的だ。

そのうち、皆さんに服は1着だけ買って良し、買ったら最低5年は着ろとなるのか。 サステイナブルという言葉が環境で良く使われているが、マイクロプラスチック問題とされるものが、人類増加の問題とできるのか。 ストローの次のターゲットを静観したい。 

2018年8月10日金曜日

輸入ファブリック負担の問題

先日、丁寧な仕事をする業務用椅子ブランドメーカーさんが破産しました。
ヨーロッパの曲木の老舗の総代理店としても有名でした。 柄合わせが微妙にずれているだけでも張りなおす現場には関心していましたし、丁寧さで抜群の現場でした。
しかし、兼ねてから私共社内では、ここがダメだねという点で、何時か足を引っ張るとして報告項目になっていたことがあります。
それは、輸入ファブリックの在庫です。 仕事が順調な数年があると、流動比率が改善し、現金保有が増加します。 結構な額まで育つので、経営陣は自社をお金持ちと錯覚する。 実際には、事業ですから、究極に悪くなることがあるものです。 そうしたときに、主業である椅子の販売に力をいれるお金が、材料の在庫に変わっていて、どうにもならない事態になっているものです。 小さければいいのですが、輸入ファブリックは、思っているよりもコスト増につながっています。 関税など先払いして現金が出ていくので将来価値の方が現在価値より安くなってしまう、3色やれば2色は死に在庫になり、回転しているようで実はその資金が寝ていて、資本的な活動をしてくれないのです。
我々の同業のファブリックの専門会社の殆ど倒産していったのは、回転の悪さと死に在庫。 現在とて、我々プロが細心の注意を払って、商品の出入を監視している位怖いのです。
某破産メーカーには、使わなかったファブリック、数メートルの残骸などが山の様にありました。 おそらく、仕入よりも、かなり高く売ったので回収していると思いこんでいるでしょう。 その利益は、その年の他の経費で消え、利益になっていても半分はその年の税に消え、今あるものは現金の様に帳簿に乗る。 
55年近い経営の中で、たくさんの浮き沈みを見てきましたが、企業には必ず危機的に悪くなる時があるものです。 その時に、使うべきお金なんなのか。 その使うべきお金こそが、普段から活動につかうべきお金の使い方。 直接輸入すると安いと勘違いして、前払いして在庫するべき物ではないのです。 過去、輸入ファブリックの直買に手をだした企業で、一時に悪くなると、その多くは、その在庫を弊社に引き取って、弊社でデリバリーしてくれと依頼してきました。 実際に、引き受けてきましたし、常に引き取る用意があります。  結果的に、当時はあれだけ売れていたのに、今はデッドストックだな、という山を二束三文で引き取り、その殆どを処分することになるのです。

引っ越ししました。

 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。