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2016年2月23日火曜日

椅子張りの王様 モケット 取材開始

椅子張りというテキスタイルがある。
昭和は、椅子張りの代名詞だったと言っても過言ではない、モケット全盛の時代だった。
新規でつくる椅子も、張替えも全部モケット。 喫茶店、スナック、パチンコ椅子でも粗100%使っていた。  当時のサンプル帳を見ると、90%がモケットだ。 そんなに種類が要るのか?という位だが、そんな理由を書きとめたい。

というのも、3月から改めて、モケットの取材をすることが昨年から決定して、いよいよカメラマン、インタビュワーなど取材班を組みはじめたところです。

私が椅子張りの企画で最初にモケットに携わったのは、洗えるモケットで、かなりキワモノになってしまっていた時代。 それまでは、パイルにアクリル糸を使っていたが、皆が避けていたポリエステル糸で織り、ポリエステルの特性である Washable ウォッシャブルを利用するものだった。 アクリルと違ってポリエステルはパイルをカットするときの切れが悪く、表面がきれいに整わない。 後加工でシャーリングする時も、加工屋がやりたくないを連発する程やっかいだった。 12越で織って、パイルを寝かせることでごまかすわけだが、普通のモケットには見えない。 最後は、5000mを捨てる羽目になり、会社から自分の好みで開発するな!と痛い目にあった思い出がある。

モケットとは、歯ブラシの様に糸が立ち並ぶように作るもので、上と下の二枚の地となる織物をおりながら、もう一本の糸でつないで中間層のあるような織物をつくり、その二つの織物を2枚におろすように刃をはしらせて作る。 したがって、二つの織物が同時に出来上がる。 (希少性の高い特殊なモケット織機は、一枚の組織にループをつくって、そのループの輪をきることで、歯ブラシの立ち毛のようにすることも出来る。) 500m欲しいといわれると、たった250mで織らなくてはならない。 二つできてしまうので、半分で言い訳。 二つの組織を同時に織るのでスピードも上げにくい。

毛倒れしたところが傷にみえるので、素人にはクレームされるので売れないが、みんなモケットが丈夫なのを知っている。 歯ブラシのように糸がたっているので、摩擦を逃がしてくれる。 破れも殆どない。 喫煙が当時は当たり前だったが、たばこを落としても、直ぐに払えば問題ないし、穴が底まで到達するのに時間がかかるから、タバコの穴のリスクも少なかった。 昭和30年40年は、売れすぎて、創業者が頭を下げて売ってくださいとお願いしないと、自分の会社に製造枠をくれなかったと、耳にタコができるほど聞いている。 頭を下げて仕入をする辛さを忘れるなという話なのだが、仕入れの大切さは身に染みている。 つまり、売れるからもあるが、各モケットメーカーさんの枠をもっていないと、入荷が足りないという背景もあって、サンプル帳がモケットだらけだったわけです。

パイルを分けて、二つの織物にした後は、毛割といって、撚糸しているパイルの糸をほぐしてバラけさせて仕上げる。 撚糸された糸のままだと面積が無い恰好で、モケットに見えない。 加工も大変大事な工程なのだ。  一般に、モケットのアクリル撚糸は、毛割して糸が開くようにしなくてはならないので、専用の糸でなくてはならず、何トンも撚糸して在庫となる。 今は、販売量がなくて、これがしんどい。 やっと、製造しているのにも関わらず、毛倒れをみると、これは不良だという若いバイヤーさんや消費者の声で、売る気をなくす売り子だらけの業界となり下がった。 手作りの良い物には癖があり、それを愛することが出来ない市場なのだから、どうすることも出来ない。

私のその後の、モケットとの縁はロシア。 ロシアのモケットメーカーが技術指導をしてくれというので、名古屋の技術屋さんと二人で、冬のロシアへ2週間。 1年は見たかったが、金は払えないというので、問題個所とどう直せというレポートを渡してロシアの旅は終わる。 工場は雪しかない山の町。 夜はお酒に睡眠薬を混ぜられて気絶。 スタンガンだと思うが、朝ノートパソコンが立ち上がらず、準備してきた情報は破壊された。 ホテルがないから、娼婦のいるような招待所だった。 工場までの交通手段もないから、雪道を一時間歩く。 前にも後ろにも、工場へあるく人たちの群れ。 要するにゆっくりしているのだ。 工場長は女性でハイヒールに薄いドレス。 特権階級で部屋で大した仕事をしていない。 働く人は私の2倍あるような大柄な女性中心で、こちらはジーンズに運動靴。 こういう国なんだと改めて思った思い出。

今回の取材では、保存したい技術はアーカイブにしてあるので必要はなく、職人の魂の部分。 こんなに売れなくても、どうして作り続けるのか、それに我々が応えられないか見つけるためのもの。 私の意図をスタッフが理解して取材をしてくれれば、良い成果がでると信じている。

2016年2月17日水曜日

マイクロファイバー

マイクロファイバーの偽物が多いので、定義をきちんと復習しておきたい。

太さが、1d(デニール)以下の繊維のこと。 これ以上でもなし、これ以下でもなしです。


デニールは重量と長さを計算軸にした太さの単位なので、素材は何でも良い。
したがって、素材の比重によって断面の面積(直径)が変わるので、何マイクロm以下でないとマイクロファイバーとは言えないという話は、ポイントをずらした表現で同意できない。
断面の直径とは関係ないともいえないが、定義からみたら関係がない。

1d(デニール)とは、1gの原材料で9000m作れる一本の糸(繊維)の太さのこと。 すなわち細い。
例えば、900d(デニール)は、100gの原材料で9000m作れる糸の太さ。 すなわち太い。

デニールという単位は、小さい方が細くて、大きい方が太い。

1d以下なので、0.99gで9000mの一本の糸、0.1gで9000mの一本の糸という事になります。
実際には、1本の繊維で最初から1d以下を安定してつくることが難しく経済性もないので、一本の糸から何本にも割って(溶かして)1d以下に仕上げます。

同品質でマイクロファイバーを作るとなると樹脂は、ポリエステルかアクリルとなります。
可也細い(判り易い表現として、個体差があるにせよ、髪の毛の100分の1とも言われますが)ので、普通の紡糸では作ることは出来ません。 樹脂を2種類以上 複合(コンジュケート)して、糸をだして、あとから一つの樹脂を溶かして、割る/残す。 海島法(海の部分と島の部分がのこるように溶かす)や、割繊(断面をケーキをきるように割く様に溶かす)で、一本の繊維を幾つにも割くようにバラして繊維を増やす方法でつくります。

ポリエステルのマイクロファイバーは、マウスパットやDVDの出入り口の暖簾部分であったり、眼鏡ふきにも使用されています。マイクロフリースは、ポリエステルが多いですね。
マイクロアクリルは、アクリルの高い保温性を活かして、暖かい下着や肌着に使われていますね。 湿度調整も撚糸や編み方で工夫して、空気中の水分を利用して暖かく感じるようにもしています。

最近、例の環境関連の団体で、マイクロプラスチックが悪いと言われていますが、それは海を浮遊していくうちに削られてマイクロサイズになるペットボトルなどに、PCBが沢山ついているので、それを食べた魚を食べていくと、PCBが体内に残るような連鎖をするから悪いといっているのであって、マイクロそのものが悪いという事ではありません。 石綿としがい、発がん性は言われていません。
マイクロファイバーも悪いと決めつけていますが、直接わるいことはないです。 過去、この手の団体はPVC全部を悪いと決めつけて、結果、何も悪くない、そんなことが長い事続きましたね。

よく聞いたら、塩ビのモノマーは危険だと。 そんなの水素だって、単体なら危険ですよ!! そんなモノマーでは使い物にならないし。 塩ビは、個体にすればとても安定した素材ですからね。 水道管に使われていますし、鉛や鉄の管は塩ビに換えるように言われるくらいです。

また、塩ビは燃やすとダイオキシンが出るという言い方ですが、それは塩を低温で焼けば全部でるので、焼き肉、焼き魚でも同じ結果なんです。 実際に自治体の処理の時は、ダイオキシンも焼きる高温で熱するので塩ビが悪いなんて人がいたら、恥ずかしい。 食べるものありません。 企業でもそんなこと言っていると、ノーベル賞を受賞した先生から、アホかと言われます。

下火になると、イルカの死体からビニールが出たと。 それは、塩ビでなくて、ポリエチレンで英語ではプラスチックバック!! ビニールは、日本でいうプラスチックバックのこと!! 化学的な環境問題とごみ問題を一緒にする低レベルなものです。 津波で大量のごみがでましたけど、あれを批判するのか? 生活を変えようと訴求するなら多少理解しますが、ある特定の産業や企業を狙い撃ちするのは、変な団体と言われても仕方ないでしょうね。

マイクロファイバーそのものに毒性はありません。

2016年2月12日金曜日

Come to Japan! Here is information of Saving Railway Cost.

Thank you for JR!  Japan Railway systems sells 7days  14days 21days Travel Pass at very low costs.  If you are thinking of traveling a lot in Japan, think this pass!!!  I want it even I am living in Japan.  It is so reasonable!!

For further English information. Click here.
http://www.japanrailpass.net/en/index.html

Kyoto Fushimi-Inari

椅子の張替で、生地選ぶのに困る


普段使っている椅子だと、へたっていたりボロボロになっていても、馴染み過ぎて気が付かないことがあります。  買い物先で、展示してある椅子に座ると、あれ、こんなに違うかな?と思うかどうか。

そんな時に、張替えの相談を受けるわけです。 まず、資材に迷う事。 生地選びは大きな作業になることがあります。 そんなときはシンコーのSincol シンコールブランドの電子カタログから選ぶもよし、我々のようなプロに相談するのもよしです。 カタログは、ここにリンクしておきます。 http://www.sincol-n.co.jp/?page_id=45


電子カタログで気に入ったのがあれば、B5版のサンプルを無料で送ってもらえるので、椅子にあててみて、雰囲気を見てください。 カタログの全てのページ下にファックス番号がついています。
キット素敵な一品が見つかります。

中身もへたっています。 ウレタンやバネも調整してもらいましょう。 言わないと、表面だけ張り替える椅子屋さんが多いので、必ず、クッションも直してくださいと言ってくださいね。

2016年2月10日水曜日

会社のホームページをリニューアル

www.sincol-n.co.jp をリニューアルしました。 このブログからも彼方此方リンクしてますよ。

できるだけ、椅子にかかわる人に必要な情報を載せていきたいと思っています。
知りたいことをどんどん教えていただけるとありがたいですね。
このブログでは、書きたいことを書いていきますので宜しくお願いします!

御嶽山をなでる男

OHラジカル

写真: 安城のデンパーク デンマークではありません。

病院物件で抗菌を聞かれることがありますから、一応のメカニズムは知っているつもりですが、解明されていないのも多いものです。 
抗菌作用のある資材の中で、特に気になるのが金属イオンです。 市場に沢山Ag抗菌と書いてありますからね。


我が家の洗濯機は、Ag+というマークがついており、なんでも洗濯ものを殺菌するというタイプです。 はっきり言って、この程度の銀イオンで殺菌しきれるわけがありません。 部屋干しすれば、臭いがでますから、臭いを出す菌が死んでいないという証拠になるのです。 それよりも、部屋干し用の洗剤の殺菌、抗菌剤の方が効果がでていますね。

そうはいっても、スプレータイプのAg+をうたうものも、スプレーすれば、効果は体感できますから、水と空気の問題なのか、量の問題なのかということになります。

このAg+こそ、銀イオンのことですが、これもメカニズムとしては諸説あるようです。
その一つがOHラジカルです。

OHラジカルは光触媒の原理で知られていて、OHラジカルの破壊力には驚かされてきました。
例えば、私の作るレザー(PVCでもPUでも)に、光触媒を混ぜて、実験用の強い紫外線をあてると時期に樹脂が分解してしまいます。 特に、光触媒が直接有機物に触れていると、抜群の破壊力を発揮して、菌やウィルスなどあっという間に粉々にされてしまいます。 光が必要なのが欠点ですけど、、、。

それで、光触媒をカプセル化して強すぎないようにした、V-CAT(豊田中央研究所が開発した)を採用してレザーを作りました。 悲し事に、売れなくて、もう廃番してしまいました。 これが凄いのなんの。 その頃は、子供と出かけるとマック!という流れがあった時代。 マックも渋滞するほど元気でしたから、ドライブスルーです。 ただ、ポテトの油のにおいが車に残ってしまう。 それで、レザーを後部座席の後ろに広げてあげると、直ぐに消えてしまいます。 実家の犬のおしっこ場に敷いたら、これもにおわない。 さすが、プラスチックを分解するだけのものですね。。。 レザーは大丈夫か!と心配になって、やたら、促進試験を繰り返したのを覚えています。

今日は光触媒ではないが、OHラジカルを出すという抗菌を見て、そんな素晴らしい開発だけど、売れなかったな、相当銭失ったなーと、思い出しました。

2016年2月5日金曜日

合成皮革とはなんぞや???

読者の皆さんは、ソファ買う前に読んで下さいね。



我々、椅子資材のプロの間では、合成皮革というのはポリウレタン樹脂を使用した、疑似本革のこと。 絶対に、PVC(塩ビ)レザーは、合成皮革とは言いません!
まあ、lこれは、資材業界の話ですけれどね。

ホームページを検索すると、資材のプロよりも、小売りのテクニックトーク由来のちょっと?な用語が多いですけれど、我々から見ると合成皮革もその一つです。

言い方をまとめると

本革 ‐ 皮は加工前。 革は、なめして、色を付けて、艶を整えたりした加工後の皮
合成皮革  ‐ ポリウレタンで出来た樹脂フィルムを生地に張り合わせたもの。 椅子用では、厚みや風合いを持たす中間層がある。
レザー ‐ 一般的に、塩ビレザーの事を指します。 塩化ビニル樹脂のシートに生地を張り合わせたもの。 家具用では塩ビのスポンジ層がある。 英語に慣れていると、レザーが本革っぽいですけどね。 本革は正確には Genuine Leather ですから、レザーっていうのも、実際には本革ではないです。

営業トーク的な言葉が多い、家具業界では、ソファの表記に、本革(一部合成皮革)と書いてあるのが普通ですが、実は、本革と塩化ビニルの組み合わせという意味なんです。 合成皮革は、本革の感覚で、本革の欠点をクリヤーしているので、本革と価格差がありません。 よって、裏とか横とか触らない部分は、それらより安価な塩ビレザーを使って、コストを落としているんです。 ちなみに、全部本革で張っていれば、総張りという言い方です。

車では、本革シートでも、横と裏は合成皮革が多い。 (車業界では合成皮革は、ポリウレタン樹脂の本物で、塩ビシートなら、塩ビと言ってますよね。 さすが!)

唯、本物の合成皮革は、名古屋のシンコー(株)のスーパーソフトレザーシリーズでないと、加水分解してしまうのと、保証がありません。 加水分解とは、水素がウレタンと化学反応して、時間と共に分解してしまう現象のことを言います。

某、家具小売りの大きなチェーン店で、偽物のスーパーソフトレザーで安いソファをつくって、ことごとく分解してクレームなり、それから、使わなくなっています。 私の母親もそこで買ったリクライニングするソファが1年でボロボロになりはじめて、カバーをまた、追い銭でその店でかわされて、カバーを洗う時に、ウレタン樹脂がくっつきまくって、どうしようもない状態に。

勿論、母に此れは悪意ある(安くするために、眼をつぶって採用した合成皮革を使った)粗悪品だから、クレームして新しいのに変えるか返金してもらえと言ったところ、めんどくさいわっと。 いわゆる氷山の理論ですね、1件のクレームに30件のクレームが何処かで発生してあり、潜在的なクレームは海の底1000件以上もクレームを抱えているって。

ISLIFEかSincol Brandで張ってあるか、買う前に確かめてくださいね。 


引っ越ししました。

 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。