このブログを検索

2020年9月18日金曜日

LaBanda ウール30%の平織り 発売開始

 満を持しての言葉の通り、長い間戦える品質で、戦える価格に出来なかった企画の船出。

どれくらい長いか? 20年以上と言って良い。 私が活動している地域は、毛織物で有名な尾州地区。 昔は、毛番で10番手の平織りなど、幾らでも作れた。 糸の形状を撚糸で工夫して、同じ10番手、同じ打ち込み本数であっても、見た目や風合いが全く違う平織りが何通りも出来たものです。 しかし、当時も今も、ウールとアクリルをワタで混ぜて紡糸するとなると量が必要。 量産しないと成らない。 量産するとなると、量産家具メーカー向けとなり、コストが合わない。 負のスパイラルと言って良い。 量産メーカー程、コストよりも質に行って欲しいと提案してきたが、そう認めて貰えなかった我々にも力が無かった。

この頃から暫くは、テキスタイルは超デフレに入っていき、糸を減らして目付を抑えて少しでも安くする、糸を膨らませて太く見せるなどで対応してしまった。 それで売れたから良し、という営業本意だった。 本来国産があるべき方向だった、”拘り”分野さえも生き残れない、究極に疲弊していった時期でもある。

安いウールは毛足が短く、繊維が太いので、撚糸すると、糸の先端が飛び出て、チクチクしてしまう。 欧米ではツイードでは当たり前のチクチクが、日本人には合わないとされていて、最初は好みの違いを信じなかったが、ことごとく、チクチクするからだめと言われた記憶が残っています。 そこそこ繊維が長いだけで原料価格が全然違う。 細い繊維となると、原価がもっと違う。 そういう理屈の天然繊維であるのだが、量産家具メーカーさんは、そんなことは関係なく、チクチクするからだめ、高いからダメ、なのである。 その内、天然繊維では到底合わない価格になり、化学繊維で良い物を持ってこいとなる。 アクリルも割高、安価な無機能ポリエステルに置き換わっていき、中国が台頭。 誰がやっても利益がでない商品だらけの国産テキスタイル産業になっていった。 

幸い、弊社の南通シンコーが、中国で2002年に稼働したため、今もテキスタイル事業が継続されているが、酷い状況だったのは間違いない。 中国の責任者だった私は、直ぐに中国のウールの紡糸メーカーに行き、毛織物のコスト等の課題に取り組んだ。 そうして生まれたのがウール70%のテキスタイル、ロッサだ。 織物の設計は当時の企画だったが、上代で3900円という破格で販売した。 工場手配をした私からすると、設計は良くなかった。 本当の商品設計は、継続性の担保にあったので、言及したが、仕方ないで片づけられた。

今は日本の婦人服向けの下請として、最大手の一つになっている織物メーカーだが、当時は、経営者は近代、工場は国営企業っぽさがのこる会社が多く、ここもそうだった。 先方の購買の問題でもあろうが、原料のウールの品質が毎回違っており、作るたびに太さが違う、チクチクが強い、色が合わないなどで、この価格でも量産メーカー向けで売れなかった。 量が必要で、家具の量産メーカーに決定しなければ、とても扱える商品でない。 中国=品質が悪いというイメージも強かった時代。 今じゃ考えられない、”買い”の価格設定である。

ほどなく、改良して小ロット(1色1000m生産)にしたら、上代が6000円まで上がってしまい、廃番へ。 廃番処理に1千万円を超えるお金が必要だったと思う。 それから10数年。 レベルを上げている機屋と巡り合い、部下に命じて試作を開始。 毎回だめの繰り返し。 しかし、糸を見ると改良点が明確であったし、コストがあうと算盤ではじけていた。 自分で現地へ行って、一押することにして、今のLaBandaの価格、品質、巨大なロットの設定がされ、部下へバトンタッチ。 1年かけて物性面をクリヤーして販売にこぎつけた。 参考上代が4000円とは、ハッキリ言って、超買いのクオリティー。 バックなどの小物でも、使って欲しい。 戦える商品です。

まず、チクチクしません。 目付も、糸がこれ以上は要らない位打ち込んであげています。 これにより、滑脱などの基本問題を解決しています。 ラバンダは、定番化されると思います。 長期に愛される商品として、大きな製造ロットでも躊躇せずに、製品化しております。

LaBandaの目標売上は年間で2億円。 10年20億円をペイラインに設定し、多国品のコスト競争に絶対に勝つ商材として市場へ売り込みます。

引っ越ししました。

 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。