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2018年2月23日金曜日

新レザー商品 ラブツイード

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ラブツイード について



私の住む地域は尾州産地と呼ばれる毛織物の一大産地でした。 隣の遠州の綿織りも盛んで、つい20年前までは彼方此方で機織り機が動く音がしていたものです。 今は寂しく、大きな工場跡地はショッピングセンターになっています。 彼方此方がショッピングセンターだらけですから、中小も殆ど閉鎖されました。 今は日本生産できる工場がないので、何処かの会社の誰かが手配ミスをして、無理にぶち込まれると、全ての商品の納期がタイトになる有様です。 どんなに品質安定していても、強く要求されていた事実はあっても、安いには勝てずに海外へ移ってしまいます。 品質要求は残酷です。 どんどんコストアップになり、価格は同じでないと売れず、そして、他国が安いとなればそっちへ行ってしまう。 追求すれば、価格が安くて、品質は良くなる!と大手は手本の様にしていきますが、殆どのケースで安くなる分は下請けが被るだけです。 勿論、良いモノをつくり、さらなる利益を求めるが自由経済の掟ですから、そうなるのは誰もが判る話ですし、企業が存続30年を越えられない壁はこうした理由にあるのも判ります。 何かやるせない、やりきれない、そんな悶々とした思いをレザーに託したのがラブツイードです。

撮影時に、本物のツイードがどちらか判別つかなくなる程、ツイードのニュアンスをつかんでいます。 レザーとしての評価よりも、尾州の歴史を評価して欲しい、そうした織物愛やツイード愛を込めた逸品です。

2018年2月22日木曜日

新レザー商品 リリアンヌ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 リリアンヌ について



子供の頃は、駄菓子屋さんが最高にテンションが上がる場所。 私の時代は、10円、高くて20円のお菓子。 振り返ると、当時は思っている程、ボランティアでなければ出来ない商売ではなく、家の留守がてらに省スペースで切り盛りできる商いだったのかな。 高度成長期とはいえ、寅さんの時代だから、小市民の所得はそれほど高くなかった。

その中でもリリアンは30円。 子供の手に握るサイズの筒の円周に釘が数本差してあって、それに糸を引っ掻けていくと、小型丸編み器の役割をして、筒の中心から編まれた糸が出てくる仕組み。 今でいう、ミサンガみたいなものかな。 手に巻いたり、首に巻いたりして女の子の遊びだった。 私は沢山の姉と妹しか居ない唯一の男でしたから、一緒にいる中で、大方の女の子の遊びは熟知しています。 リリアンも嗜みました。 

椅子張りの業界に入り、椅子張り用の糸のむずかしさを知ります。 簡単に言えば、シャツの糸は細いですが、あれの何十倍も太い糸にするには、何本もより合わせて太くしながら、また、撚ることで強度を得ながら作りこみます。 シャツが3000円で、なんで椅子張が3000円なのか不思議ですね、それだけ資材には利益がないのです。 繊維系は多く売るビジネスモデルなので、例え10%の市場がなくなっても、負担は大きく、大手繊維が繊維事業から撤退し、どこも化学会社だと言い張るわけです。 このリリアン糸は、糸を撚って太く強くするのではなく、編んで太く強度を上げるという全く異なる発想です。 傷のリスクも高まるので、リリアン糸を使うと一般的に高価な織物になります。

過去は、レザーでそのニュアンスを試そうとは思いませんでしたが、リリアン糸は綿混が主流で毛織では見かけません。 そこで、ウールっぽさを加味したら、リリアン臭さも消えるし、テキスタイルのコピーにならないと閃いて、企画テーマに挙げたわけです。 素朴に仕上がったので、業務用だけではなく、注文家具でも違和感がない良さが出ています。 シボの谷が光るので、暗めの空間でも存在感がでます。

2018年2月21日水曜日

新レザー商品 フランドル

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 フランドル について

椅子張の織物で、ウールフェルトやウールフラノは、要望はあっても全く売れません。
”あったらいいな”と”売れる”とが、これだけかけ離れるのが、椅子張りの世界。 相当ニッチェな所に、相当なニッチェ要望です。 そもそも、高級品の製造ロットに対し、高いと要らないという数が勝ってしまうのが日本製。 今でも、海外織物が良いという伝説が生きています。 マジックでないペンをマジックと呼んでるのと一緒でしょうか。

雰囲気だ欲しいという要望でもあり、レザーで再現するアイデアは20年近く持っていましたが、デザインサイドから提案されていたアイデアの中に共通テーマがあり、じゃあ本気でやってみようというのが始まりです。 途中、あいまいという基準が難しく、これなら合格でしょうという明確な点数がブレてしまいましたが、製品化にこぎつけました。

あいまいな感覚は、椅子にすると殆ど主張しませんので、デザイン重視の空間や椅子ではその特性が活きるようです。 沢山のファンがついてくれることを願います。

2018年2月20日火曜日

新レザー商品 ボンボーン

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ボンボーン について


ボンはフランス語の良いという意味と、中国式に二つ同じ漢字を重ねると強調するという法則と、日本語の語呂の良さの3つを合わせて、ボンボーンという名称にしています。
日本語に訳せば、いいね、いいねっ! 小さい「っ」が、ボーンでしょうか。

色んな色で試したのですが、プリント版が懲りすぎてて、思った色を出すのが困難。 やりすぎたかな感が後味に残りました。 しかし、椅子に張ると、生地と見分けが付かないほどプリント版の数と重なった部分の色とが錯覚になって、普通のレザーにない深みが出ています。 さらに、Ag抗菌や防汚機能を付加たので、看板商品になって欲しい思いも加えています。

2018年2月19日月曜日

新レザー商品 カラカイ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 カラカイ について


椅子張りレザーでは、皮革で連想すると牛ですね。 ドイツやイタリア家具が手本とされてきたからでしょうか。
両国ともに本革生産でも有名です。 日本では、古くから鹿革や魚革が使われて来ました。 魚の革といえば、紙やすりの様に木を削るのに鮫革が使われていたり、今でも宮大工さんが一部で使用したり(デモンストレーション?)、すりおろし器にも使われていますね。 鱗の代わりなのでしょうか、エナメル質が強いので、皮というか、細かい骨みたいなものですから、研磨に向いているのでしょう。 生命進化では、こういう皮から鱗に進化したでしょうか。 さておき、エイの革は、昔は刀の滑り止めとして定番です。 柄に巻いてある紐の下に隠れているゴツゴツした粒。 あれがエイの革ですね。 江戸時代には飾り化していくので、機能面だけではなく、きっとデザインの一部としても重要だったと思います。

私の工房 惹伽銑(じゃかずく)では、あらゆる皮革を買い付けては、レザーに取り込む様に勉強しています。
エイの革は、背骨沿いの極少ない面積だけが仕様可能で、皮革の中でも、梅花革と書いてカイラギと名称が存在しています。
椅子に使おうとすると、小さい椅子の座面だけでも、6枚以上必要で大変に高価であることが判りました。 そこで、レザーにそのニュアンスを反映させて、新しいテイストが生まれないかと考えて、エイ革の鞣し方法から探りました。 デザイン的には新しいが故の不思議さがありますが、本物の刀剣の柄を沢山見た限り、良い部分の特徴は捉えて再現できたと思います。 牛革であることに疑問を持ち、あらゆる革にチャレンジすることで、牛革タイプのレザーも、より進んだ企画になると思います。 まだまだ、やれる事だらけで休ませてもらえません。

2018年2月16日金曜日

新レザー商品 アニリス

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 アニリス について




実は、過去、本革に似せるレザーを作っては販売してきましたが、ことごとく売れず惨敗の繰り返しでした。 単純にシリコンで本物から型を取って押し型ロールを作っているのに等しかったかも知れません。 今回は、アプローチを人の目がどうしてそれを本物と思っているかに着眼しています。 その要素を言葉にし、本革の写真を拡大して、この要素ですと説明。 工場サイドが自身を持ってこれで如何?と仕上げてくれたものです。

これなら、商品化する価値がある、失敗はしないだろうと判断して決めました。 アニリスの現物の様子を高画質の写真でとりましたが、印刷の制約上、高画質写真のような精度よい紹介ができないのが残念ですが、小さな貼り布サンプルでも、そのリアリティを感じられると思います。 きめの細かい素革の様子を目が撮れている筈です。

小椅子ではアンチークからモダンどれでも対応でき、大きな椅子ではデザイナース椅子の張替でも充分に応える質感があります。 高級椅子に耐えるレザーはそうありません。

新レザー商品 ノビルZ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ノビルZ について

伸びるレザーは、裁断型に神経を使いすぎなくても、張り上がりで縮んでくれ、椅子の容にフィットしやすいので、量産メーカーさんの現場で評価が高い傾向がありました。 一方で、量産する数が多品種化する中で量産といっても、一本一本の張材が違う細かい対応になってきています。 そうなると、同じ椅子でも異なる伸び率のレザーを同じ型で裁断するのが手間になり、伸びるから喜ばれる単純構造ではなくなっていると思われます。

では、何で伸びる新商品か? 量産よりも、寧ろ、椅子屋さんが対応している現場張替えや、日にちの無い納期での手離れの良さを提供したいという考えです。 z(ゼット)は、社内ではゼーっと発音しています。 伸びるぜ~っは、今在庫何反?という感じで使っています。 きっと、手離れ良くなるZと期待しています。

新レザー商品 ノスタルジャン

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ノスタルジャン について

大正や昭和をテーマにしたアンチークに落ち着きましたが、勿論、企画の括りは普通にアンチークから始まっています。 昔は、モールドウレタンの椅子が業務用の回転いすの分野で多く売れました。 モールドウレタンは型で成型するので、型に大きな投資が必要で、主に高級ソファに使われた技術ですが、麻雀の椅子やカウンターの回転椅子向けに大量生産したことで普及し、良く売れたと聞いています。 丸みが強いので、綺麗に張るのが難しく、椅子職人さんが技量差を発揮できる椅子でもありました。 モット簡単に綺麗に張れるように伸びるレザーを盛んに研究し、今日の標準レザーの伸びになるのもこの頃です。

今回は、アンチークコンセプトのお店だけでなく、古い椅子の張替で自然に馴染むように色付けをしました。 小さいサンプルでは判りにくいのですが、昭和らしい昔の椅子に自然に馴染むまで、微妙な色の変化を何度も調整していますので使いやすいです。 幅も広く、ベンチに使えます。 

2018年2月13日火曜日

新レザー商品 カフェフォルテ・モコモ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 カフェフォルテ・モコモ について


絞=シボ=皮革の凹凸 ここでは、PVCレザーの表面をシボと呼んでいます。
基本的には、本物からシリコーンで型をとって、型押しロールに直すのですが、本物からですとロール状に直したとき、一回転した上下が会わない、また、左右の繋ぎ目が合わないのと艶が違うなどが発生し、難しいを極めます。 シリコーンは正確に読み取るので、人工的に加えて均してしまうと、手を加えた所が不自然になるのです。

カフェフォルテ・モコモのシボも、実際にキルトをつくり型をとるのですが、説明以上に難しいのです。 リアル過ぎると偽物っぽい、こういう現象も起きます。 対象物を見て、実際にロールにするには、どれくらい難しいかを含めて、ジャッジします。 ですから、私も経験を積む為に、ホビーとしてシリコーンの型取りをします。 普通、そう聞くと、皆さんはアクセサリー作りや模型づくりと思うでしょう。 私の場合は、深い意味なく、面白そうなら型をとって、ロール化するにはどうしたら綺麗になるかを考えるだけ。 例えば、ピザでマヨネーズたっぷりのをみると、そのモコモコを取りたくなったり。 亀の甲羅とか、ステンレスのキズとか、何でもです。 最近は、見るとロール化した後の想像ができるレベルが高いので頻度は減っています。

カフェフォルテ・モコモについては、元が無地のフラットなシボですが、張ってもらうと”良いね”ですが、中々張ってもらっていません。 そこで、モコモコ感を持たせ、カジュアルの安物っぽさを消すために重厚な色を重ねています。 シボの低い部分が強調され、高低差が錯覚で生まれます。

2018年2月9日金曜日

新レザー商品 オーラン

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 オーラン について
















複数の企画が入っています。
1. リピートの無い柄レザー
2. 夢を実現する人の思いをデザインに反映したい
3. 日本独自の意匠

幾つか候補のあった中、襖絵の取材の中で唐招提寺の襖絵に決めました。 東山魁夷作があり、各地で展示公開があり盛り上がっていたのも切っ掛けです。 NHKなどの特集もありましたね。

鑑真和尚は、日本に戒律の制度を作る夢の為に視力も失います、ドラマチックな人生であり、教訓であり、圧倒的な存在です。 東山魁夷さんは一生懸命に勉強解釈し、緻密な計算を重ねて、襖を書き上げました。 私は物まねではなく、椅子の中にもそうした宇宙観を取り上げたいと思い、リピートの無い企画をあてこみました。 プリント版は同期させて色々な色を表現しますが、今回は意図的にランダムにし、偶然に重なり合う色から生まれる違う色、深みで人生を表現したかったのです。 これも工場なかせとなりました。 何度もトライして貰い、良い物ができるまで帰らないと居座る私。 それだけに、色と深みは素晴らしいモノがあります。

ゴールドのL-2037は、LEDのダウンライトで黄金のように輝きました。 ヘッドボードなどの大きい面積だと迫力が増します。
緑のL-2038は、山の色です。 真夏に岐阜の山奥に色を取材しました。 朝と夕でも表情が違いますが、360度山に囲まれますと、生き物に厳しく見つめられたような感覚で圧倒されます。 取材時の色が完璧に再現できています。 
青のL-2039は、海の色です。 波の表現ができるか、やや心配でしたが、意図した以上の表情が出ています。 どれも椅子に張って、LEDライト下で商品をみると、類のない迫力が出ています。 どれも、日本ならではの解釈であり、自分の不安やブレなど、実はたいしたことのない悩み全てが封印されたような仕事となりました。 売れる売れないよりも、使って頂いた方々が、同じように要らぬ思いを封印できると、デザインに込めた思いが伝わったことになり、工場をはじめ我々が嬉しく思える商品です。

2018年2月8日木曜日

新レザー商品 アイビーヒルズ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 アイビーヒルズ について

元々チェックの企画です。 チェックは、元が織物柄。 タテに巾の違うストライプを何本かならべ、横糸も同じ順番と巾で打ち込むとチェックができます。 レザーでは、それを絵としてチェックを作るわけですが、かわいいという基準はあっても、椅子らしさにかける。 主役が椅子にならないので、私自身が好きでないという方が正しいでしょうか。

チェックと聞くと、タテ線、横線が交わって四角い柄がでる、あれ、を想像するでしょう。 アイビーヒルズの原型は、クロスチェックと呼んでいて、糸一本が一本の線という考え方で柄作りをしていきます。 其の為に、糸は太いことを前提に、絵を書いていきます。 異なる糸が交わる所に色の変化が生まれ、L-2035色の場合でいえば、青の中にエメラルドグリーンのような特殊効果が協調されるようになります。 言うは易しで、ベースの白系ベージュが強いと、LEDなどにあたると白っぽいいすになってしまう。 程よく線が面積を埋め尽くさないとなりません。 各工場のデザイン担当で競争してもらい、その線を何度も書き直し、思った表情がでるまで繰り返しています。 皆、それぞれ、クロスチェックの完成度は高かったのですが、椅子にした時に各面が整って見えるように手を加えられそうなものが選ばれた今回の最終図案です。

それでも、物足りず、シボの選定に苦労しましたが、椅子張デザインとしては究極レベルに到達したものが出来ました。 主役になりすぎず、椅子そのものを引き立てる良い柄です。

チェック&チェックした柄が良いと言われれば、「ああ、私の所ではやってません。」としか言いませんが、チェックを超えるチェックが欲しいといわれれば、これがうち自慢のチェックですと言い切ります。

 

新レザー商品 ノエルゴヘイ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ノエルゴヘイ について

シャバクロと同じ企画テーマで進めましたが、何処にも共通性が見えないと言われそうです。 シャバクロが水や空気、そこに草木を含めた生き物が描かれる、つまり主役ではありません。 ノエルゴヘイは、葉が主役です。 主役が虫に食われていたり、それでも、新しい葉の芽が埋め尽くしている生命の強さを表現しているつもりです。

シャバクロと同じように、絹目の生地に絵を書いたように、色を重ね塗りしたときの絹目の濃い線が葉柄全体を覆い尽くしています。 そうした生地と柄の関係や形而変化すべてがデザインだという考えも日本らしいと私は考えています。

椅子の背裏をノエルゴヘイで、表を無地でという組合せも素敵ですし、全体をノエルゴヘイで張って頂いても、目立ち過ぎず空間に溶け込むように色調整をしています。 


2018年2月6日火曜日

新レザー商品 シャバクロ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 シャバクロ について

シャバクロは、マニエラと和を融合させる試み
伊藤若冲の作品を3年間取材し、絵の素晴らしさの背景には、膨大な下準備があることに気が付きました。 絹織物に絵が描かれていますが、絹のベースに裏と表から大きな刷毛で違う色を付けてあります。 刷毛と刷毛が重なるポイントが、マニエラのスラブ影を和にしたような線が断片的に浮き出てきます。 それが深みに奥行きをもたらし、若冲が其の上に、何処までも深く、そして、限りなく重く筆を運び魂を吹き込んでいく。

シャバクロは、膨大な量の取材と研究で、要素を取り出して再現させています。 工場サイドのデザインナーがそれを落とし込んで、現場が再現の手間を掛けて仕上げていく。 日本ならではの分担的、また、職人技的なレザー作りです。

完成度が高いのは、そうした重さと深さをレザーで表現できているからこそです。
娑婆の玄人から、しゃばガエルを私がボールペンで走り書いて、デジタルに落とし込む作業と細かい修正は現場でしてくれました。 目をロンパリにした元絵、これは、彼方此方見ている様だったのですが、可笑しいですとのことで、直されてしまいました。

訪日客が多いスペース、少なくなった和のスペースだけではなく、マニエラをお使いいただいている商業スペースで確認していますが、マニエラのグレードアップ版にもなります。


2018年2月5日月曜日

新レザー商品 コードカーフ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 コードカーフ について

紐状の物体をコードといいます。 カーフ(牛)は、生後6か月くらいまでの牛さんの皮革です。 よく肌のきめの細かさなどで良いモノを思われていますが、我々椅子の資材からすると、生きている間につく擦り傷や切り傷、虫さされや皮膚病の跡が少ないというメリットがあります。 勿論、新商品のコードカーフは牛ではありません。 PVC樹脂で模したものです。 (こう書かなきゃならない時代が情けないですね。プロの目で見てもらえないのは悲しいものです。) 食品サンプルは美味しそうにが求められますが、我々の”模す”は、椅子に張った時に牛革の良さを表現することに注力します。 例えば、ハリ。 テンションというか、きめ細やかなコラーゲン層を伸ばした時の感じというのでしょうか。 ですから、コードカーフは、椅子にピンと張った時の様子、平たいコードが一本一本伸びている所を表現しています。 だから、財布や鞄などに使う型押しロールと全然違うモノなわけです。 プロと素人の違いです。 素人は我々のライバルでもないのに、第三者からライバルと言われることが多い、インテリアの何でも屋さんのこと? 安ければいいという傾向の問題ですね。 サンプル帳の13ページですね。 写真は乗せませんので、そちらを参照してくださいね。

新レザー商品 クロコ・ドルチェ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 クロコ・ドルチェ について

大ヒット商品のドルチェ・マキシマの後継です。 ドルチェは、不甲斐ない事に、企画段階で拘り過ぎて、製造が難しかったに尽きます。 一つは、伸びる人工皮革を作るむずかしさ。 表面よりも裏です。 ポリエステルの親戚にあたるPBT繊維を採用し、ウォータージェットという織機で超高速で織るのです。 ウォータージェットとは、横糸を端から端まで飛ばして経糸に貫通させるのですが、水鉄砲を糸と一緒に撃って、飛ばすわけですね。 水でぬれると強くなる繊維、つまり綿には良い織機です。 熱ももたず、高速でも切れにくい。 勿論、ポリエステルでも静電気が起こりにくいので高速でも絡まず綺麗に織れます。 問題は、糸が太いことと、高速すぎて、大量生産すぎること。 さらに、起毛して毛を整えるためにカットしますが、この時は乾燥しているので静電気が発生し、見えないレベルの繊維のクズが起毛面に付着してしまいとれません。 これがレザーに移って、表面が小さな毛だらけになる。 色が茶と黒ですから見えてしまうのです。 作っても作ってもNGで、何時までに欲しいというお客さんの要望に対し、納期が出せなくなってしまいました。

後継で新商品のクロコ・ドルチェは、伸びる人工皮革をやめ、従来の織物基布に換えました。 デリバリーを重視したのです。 一方で、顔については拘り、細部が判る細かいプリントを重ねています。 単純なクロコと違い、日本人が気が付く細部の違い、深い色が楽しめるわけですね。 別注色対応を載せたのは、クロコでは別注色の要望が多いからですね。 出来ますか出来ませんかの対応が大変です。 試験的に、別注対応化をしました。

2018年2月1日木曜日

新レザー商品 アナスターシャ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 アナスターシャ について

137cm巾のレザーは、122cmに比べると、最初に意図したデザインと比較するとデザインの再現精度が低くなりやすい。 幅がある分、製造中の熱やたるみの影響を少々強めに受けるからです。 そういう意味では、シボによる柄物が中心になりやすく、インテリア系の会社が企画すると、レザーデザインのプロの目からしたら、おもちゃレベルのデザインが殆ど。 この程度で、良くデザインというわ!というと怒られそうですが、プロの目は何が簡単で何が難しいか等の要素が入るので視点が違うんですね。

綺麗な柄で綺麗な色、そんな程度で評価されたら我々プロは恥ずかしい。 言われたくない褒め言葉ですね。 実際は、色は綺麗でないけど、柄も飽きないし、長く使えて安心だわと言ってもらう方がドラが大きく叩かれたように心地良い。

アナスターシャは、シボは誰でも作れるようなものですが、それにプラスして、光の反射を加えています。 更に、柄は古墳などにあるようなかすれた線で、ツタ柄を加えて、椅子のサイズや椅子向けにまとめています。 柄は、イスタンブールの遺跡を取材した時にかすれ感でヒントを得ています。 弊社のデザイナーが、私からかすれ感が違う!っと30を超える数十回もダメだしをくらって、大変な思いで作業してくれたものです。

結果的に、満足行くデザインになりましたが、137cmである苦労を表現したく、12%幅広というロゴを考えて、実際に12%のコストダウンが出来る旨を明示したわけです。 色は、実際に椅子に張ってみて、良かったものに絞り込んでいます。 バリエーションを赤青黒の様な解釈はせず、バリエーションは張ってかっこいいモノという解釈にしていますから、何でこの色なの?と聞かれても、カッコいいから張ってみてよ。というしかありません。 実際かっこいいですから。

引っ越ししました。

 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。