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2018年1月31日水曜日

新レザー商品 ロイス・プルビエル

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
新商品開発 ロイス・プルビエル について

千鳥柄がテーマなんです。 英語では、Houndstooth Check という定番柄ですね。
日本では千鳥が飛んで連なっている印象でついていますが、ハンティングの盛んなイギリスでは、猟犬の歯に例えているんですね。 柄って解釈が面白いですね。

定番柄が厄介なのは、主役すぎるんです。 椅子が主役なのが資材の役割なんですけれど、椅子に勝ってしまう。 そして、定番なのに流行が定期的にある。

其の流行も、千鳥格子のサイズ違いだったり、色目違いだったり、方向違いだったり、何かしら変えているので、定番なのに流行時はそれじゃない現象が起きてしまう。 それだけに、取り上げるに足りるテーマだったわけです。

悩んだ末に、ウールで千鳥織って、お湯を掛けて揉む、フェルトのようなボケ感をだして、主張を消そうという試みです。 私は元々が織物でキャリアをスタートしているので、織物の発想で考える時があります。 今も織物も企画開発するので、同時進行しているとめちゃくちゃな指示になることもありますが。

そうして出来た柄です。 商品名のロイス・プルビエルの由来は、Pluvierは千鳥 ROYCEは人名からですが、Low Chair = ろーいす の造語ですね。

サンプル帳の写真は、居るかな?居ないかな?って、古いドアノブの鍵穴から覗いた、可愛い彼女の部屋をイメージしていますよ。 魚眼レンズで撮りました。

2018年1月30日火曜日

新レザー商品 ガルネリ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
冒頭の商品開発 ガルネリ について

良く聞かれるのが、新サンプル帳の冒頭の商品は、最初の頁に来る新商品を意図して企画開発するのか? という質問です。
応えは、YESでありNOです。 開発テーマは、自分の足で稼いだ市場の情報及び2年前に設定されるカラートレンドの過去数年分の実態分析を中心に構成されます。 企画開発部にて独自のトレンドを出して、開発テーマとトレンドをぶつけて、開発する商品毎にコンセプトや合格点の設定をします。 

商品開発中は売れるか売れないかという点を考慮していると、何時までも合格が出せず、いつまでも開発が終わらないので、コンセプトシートを作る段階で、合格点を決めておきます。 合格点以上に成って、こだわりすぎても、芸術品化するだけで実用性と関係が無いことが殆どです。 企画開発担当者は、学生時代を含めて継続的に美術を勉強しているため、時に芸術品を作ってしまう悪い癖があります。 私も毎年美術に関してテーマを決めて勉強していますから、私とてそういう罠にはまった経験があります。

前サンプル帳からこのサンプル帳開発迄の美術勉強では、伊藤若冲、東山魁夷、イタリア美術、民芸運動でした。 自分が消化するまで取材を重ねているので、筆のタッチまで頭に入っています。 皆さんは、筆をどちらに動かしたかなんて興味が無いと思いますが、利き手とブラシの方向、勢い、色材の粘度などで、表現が全く変わります。 其々のエッセンスを得るためには、表現方法とその結果を読み解くのが大事ですし、美術品の見方が人それぞれで、楽しさの違いなわけです。

ガルネリは、絵に数か月かけています。 基絵は、まる描いて、ここにこんな鳥、ここにこんな花、織物でいうと何番手の糸を縦糸に4色使い、280本打ち込む色彩とか、本当にバックりな指示です。 次に鳥の種類が企画から提案され、選定し、大方の材料がそろった段階で絵を書く工房に依頼。 手書きで第二弾の基絵にアップし、さらに工房に具体的に羽の印象や色度の違いを修正してもらいます。 第三段階迄で凡そ3ヶ月。 今度は、椅子張のテキスタイル企画の出番です。 椅子のサイズ、タイプを選定して、鳥の大きさや向き等を決めてリピートに直します。 絵のパーツを拡大縮小しながら切り貼りして、椅子向けのデザインに大幅修正するので我々が得意な分野です。 デザインと椅子のリピートは別物です。 こうしてガルネリの第4段階が終了し、今度は、マスクを作ります。 ガルネリでは、綿織物のマスクを掛けて、図柄自体を織組織の凹凸のかげを入れます。 

次に舛見本。 色んな色のパターンを作り、A4サイズ位に色を変えて、プリントしてレザーの上での発色性を確認しながら色修正を繰り返します。 最初の色は1色しか作っていませんから、本当の色付け作業はこの段階といっていいでしょう。 鳥の色も変えてしまいます。 基準は、私の気分というくらい誰にもわかりません。 色は基とゼンゼン違うのは当たり前です。  結果的に、タテでも1mのリピートとなり、もし、織物で同じ柄を作った居たら、到底、価格のつけようのない高額な紋紙代がかかる、出来そうで出来ないモノに仕上がりました。 レザーだから出来る柄と言っていいでしょう。 上代は破格の16000円です。 織物でやっていたら、3倍は貰わないと合わないというか、3倍でもやりません。 労力に会わない。

商品名のガルネリは、ガルネリ一家が製作し残存数が少ない超プレミアム・バイオリンの名称から頂きました。 五嶋みどりさんが使用していますね。 非常に暖かく伸びの気持ちいい音色です。 買えないレベルの高額品ですので、財団所有してバイオリニストに貸与するような楽器です。 是非、無名の工業デザイナー集団、工房 惹伽銑(じゃかずく)が、持てる力を注いだ貴重な柄をお楽しみ下さい。

2018年1月24日水曜日

サンプル帳企画

レザー総合サンプル帳が、2018年1月5日に無事発刊できました。
仮印刷の時点では、QRコードとリンク先が一致していたのですが、本番印刷の際に一部でリンク更新がされずに、QRコードのリンクが出来ていないなどのトラブルがありました。
それでも、HP側の編集で、欲しい情報に届かないという事態は回避できるので、印刷物単体でのミスと違い、デジタル部分は都度修正できるので大きな被害無く助かります。

大変多くの人に興味を持っているため、全体のコンセプトや商品のコンセプトを根掘り葉掘り聞かれますし、色についても、なんでこの色ですかと質問されます。 資材の場合、コンセプトは一方的な思いで、結果的には最終商品となる椅子の使い手さんのアイデアや実物の方が高度で、いまさらコンセプトを説明しても、役に立たないと内心では思っています。 例えば、シャバクロという高度な技術を要する商品では、コンセプトは超一級品の和です。 言い換えれば、伊藤若冲に矢追さん参りました!と言わせる商品づくりがコンセプトです。 ベルサイユでは、尾形光琳に参りましたと言わせようだったのですが、シャバクロの場合は、筆で入魂するような人をぎゃふんと言わせたい。 結果的に、一本一本の線の細さや長さ、カスレ具合など、計算に計算を重ねて行くわけです。 勿論、商品は工場サイドが其の意図に則した再現の為の工夫や色調整が必要ですから、版画の元の絵に対して、版画を作り刷るというのは自分でやるわけではない、共同作業にはなります。

今は、次の企画依頼が、織物系が殆どなので、頭の中は縦糸のことばかり考えています。 どの糸をどう使って、あんな柄、そんな柄を、こう仕上げるにはどう工夫するかなど、眼を開けていても閉じていても、糸と色しか出来ない位、追いつめているところです。 歌謡界の重鎮が引退する、良い物が出てこない悩みを訴えているテレビを見て、心が痛みます。 我々工業デザインは、名前が出ない分知られていませんが、売れなかったら会社が傾くわけです。 その緊張は、途切れる間もない大きなプレッシャーです。 私の企画は、多くの時間と移動を掛けた”取材"に基づくのが特徴ですが、机が埋もれて山のようになる作業の量が、プレッシャーに負けない糧になっています。

取材も7割は終わっているので、あとの3割で何を作るか明確にして、歴史に残る商品を一つでも多く残すよう努力していきます。

2018年1月8日月曜日

2018年 年賀状フェードアウト

年賀状も今年から、紙とFacebookに分けました。
来年から、Facebookとブログだけにして紙の年賀状を辞めることにしました。
理由の一つとしては、おかしな話ですが、年賀状を送った方から、仕事で入手した住所を利用して、年賀状を送られて来ると気持ち悪いのでやめてくれというクレームがあったこと。  社員の方々の住所は、社会保険や税関連の提出には欠かせず、氏名や住所などの個々の情報、申告内容が正しい証として、会社として保証するために実印を押します。
その確認で当然、社員の住所は把握していますし、当然、家族構成や所得も把握しています。 逆に、人の入替えが期待できず、人たらしで社員と家族的に付き合う中小企業にとって、これらの情報は皆の生活を預かる社長にとって、大変重要なわけです。
それが、気味悪いで片づけられるのはという思いもないことはないですが、生きずらい世の中と諦めるよりも、今出来る方法の方が良いだろうとの判断です。
嫌なら、日本を脱出しろということでしょうか。 世界で何処でも、スマホやSNSで社会構造が変わっています。 良くも悪くも。 おかしな方向に言っているのは、TVをみていると良く判ります。 クレームがあれば出来ない。 本質は、それでは道も危険で歩けないと一緒ですけれどね。

引っ越ししました。

 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。