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2023年9月27日水曜日

ベルハント 椅子張りテキスタイル紹介

Furnishing Textile 2023 The Prime Material 1巻

P14ページ ベルハントを紹介します。


 
ボリュームある生地を、値上ラッシュの中で企画するのは大変でした。 ボリューム=重量。 原材料が高いなかでは、それなりのチャレンジでした。 ポリプロピレン糸の使用も考えましたが、そちらは無染色織物として、別枠で企画していたこともあり、悩むだけ悩んでやってみようという気持ちでスタート。

ポリエステル糸でボリュームを付けようとすると、どうしてもモール(シェニール)糸に頼りたい。 毛が抜けてくる安価な海外製が増えて、モール糸も段々飽きられている感もあって、使用を避けました。

ポリエステルは、糸に強度があり、太くするとピリング(毛玉)の発生が起りえるので、そこが工夫のしどころでした。 やや起毛風にする、裏のバックコーティングを環境型にして、物性がクリアでき、上出来の逸品となりました。 椅子にするとそのボリューム感が判ると思います。 3900円上代は殆どPVCレザーの価格帯と変わらず。 是非、定番にしていただきたいです。 

ベルハントの名前の由来は、有名ブランドのベルサーチが、サーチで探しているままなら、こっちは、全部探し終わってて、順に狩っているというイメージです。 最近、自分にぼやいているのですが、新しく作りたいもの、アイデアはもう全部あって、多くの基礎研究や開発には着手してたり、終わってたり。 それらをベースに商品化していくのですが、自分が企画開発できる期間(人生)では、もう終わらない量です。 人に継ぐこともないでしょうから、新しい人たちには、新しい素晴らしい発想で、作り込んでもらいたいですね。 

カタログリンクは下をクリックしてください。 A3で印刷したり、そこから物性データなどへ直接飛ぶことができますよ。 このデジタルカタログの作業量を多くしていますから見て欲しいです。

WEBカタログ ベルハントへ


2023年9月9日土曜日

ラバンダチェック テキスタイル紹介

ラバンダチェックは、SINCOL 椅子張りサンプル帳の前ページにあるシモーヌと同じ、高級なウールを30%使用した梳毛糸を使用しています。 ISLIFEブランドでは、業務用家具で採用が多い、同じ糸を使用したラバンダという平織商品があり、その綾織りバージョンがシモーヌ、チェックバージョンがラバンダチェックという関係です。 

兄弟で言えば、長男がラバンダ、次男がシモーヌ、三男がラバンダチェック。
どれも、SINCOL Challange Program (可能な限り30年間廃番にしない)の商品です。

ウール&アクリルの構成により、カジュアルでも高級な顔をしています。 
クッションでも、ひざ掛けでもコーディネートできるように考えています。
価格は、思い入れで、ムリに安く設定しましたが、もっと良い素材で椅子を張って、海外で評価されてもらたと考えてのこと。 年がら年中安いのを持ってこいと言われ続けてデフレ30年。 未だ、安いの持ってこいという。 是非ではなく、良い物使う時代に変わって欲しい、世界で通用して欲しいという思い。

実際、お客様のところでは、いい表面材を使用して日本製家具を海外で売るぞ!という経営や、企画やデザイン部の声がありますが、ならばと購買や調達へ行けば、常に価格を抑えて材料仕入、材料構成してしまう習慣で、何処でもあるような価格優先のポリエステルの採用。 そのまま海外へ持っていくと、とても貧弱な椅子に見えることが多い。 極端に本革でという流れになって、これまた、日本らしくない方向へ。 もっと素材感を活かして、倍の価格で売れるのですから、顔となる表面材にお金をかけて欲しいと常々思っています。

ラバンダチェックの写真は、若手がカジュアルな色を選定して撮影。 50の半ばに近づいている私には、その色で大丈夫?と思ってしまいましたが、任せた以上は黙って見守るだけ。
ラバンダチェックの試作中は、サンプル帳の写真は、シックな色で、カジュアルなカフェをシチュエーションにして、構図を作るかなと思っていました。 お客さんが一番使い道を知っているので、市場に任せたいと思います。 何せ、30年掲載していく商品ですからね。

ラバンダチェック デジタルカタログリンク



2023年9月8日金曜日

シモーヌ 椅子張り商品の紹介

シモーヌのカタログページは、ダークグレーの台紙を使用しています。
繊維でウールなどの毛を扱うときは、ウールの繊維の質、撚糸の状態等の品質を確認するため、飛び出ている毛が見えやすい黒や濃グレーの台紙を使って、品定めや値決めをするのが一般的です。 

ウールを扱う業者なら、あたり前と言えば、あたり前ですが、意外にその理由を言うと驚かれたり、特許もないのに俺が発明したんだと言い張る人や、それを信じてしまう職人さんまでいるくらい。 ある業界で当たり前は、他の業界の当たり前と違いますね。

下記を見てもらうと、シロ台紙です。 これは、デジタルカタログの新機能として、PDFの様に使うのではなく、専用ページを作成して、A3印刷してもらえば、そのまま簡易プレゼンできるようにしているため。 そのリンクを貼っておきます。 シンコール | デジタルカタログ|椅子張 | FURNISHING TEXTILE 2023~ (sincol-group.jp)

 


話はそれましたが、前のブログで取り上げたベリーニで説明したように、アクリルは発色ン優れ、この商品では70%使用していますので、とても発色が良いです。 

何より、繊維長の長いウール(高品質の証)を使用して、巻き付ける様に撚糸をした糸を30%も使用していますので、チクチクしません。 私の奥さんは、チクチクアレルギーで、肌が赤くなってしまいますから、おもてなしに使う椅子、業務用の椅子は、チクチクしない高品質なウールで、かつ、撚糸の工夫が必須です。

このような繊維長の長い毛を巻き付ける様に撚糸する糸を、梳毛(そもう)糸と呼びます。 漢字の通り、クシでとかして繊維方向を整えてから撚糸する方法で、スーツ地などで好んで使われている撚糸です。 ウールの毛は、繊維長が長いほど、ツヤがあり、しなやかで、短いのと比べて高級です。 ウールは、うろこがあり、湿度でそのうろこが開閉、温度調整をする役割を持っています。 羊の進化は毛にありで、凄いですね。 座っていて蒸れないなどの効果も期待できます。 夏でもウールがあるのは、こういう自然機能があるからですね。

右肩あがりの正当綾織り組織にしており、ボリュームも感じられるでしょうから、かなり椅子のグレードを上げてくれます。 価格は、高級ウールを使いながら、値上の世の中、人件費、運賃高騰という中で、大分頑張らさせて頂きました。 他にも商品が沢山あるのですが、日本中を弊社のウール&アクリル織物で埋め尽くして、レザーばかりの椅子よりも、ウール織物を椅子に張る良さを知ってもらいたく、安価にしています。 私の意地だけのプライシングです。

シモーヌの名前の由来? 私のネーミングは、半分ふざけているように思われていますが、”へえ~、意外だった”という声を聴くこともありますから、出来るだけ書くようにしています。 英語表記で、Simone。 コケティッシュな音ごこちですが、分解すると、SIM・ONE。 Sincol's Ideal Memorable One シンコールの理想的に思い出となる逸品。

ウールの撚糸は、この梳毛の他、紡毛(ぼうもう)糸という物があり、こちらは、繊維長の短い毛を方向性を整えず、荒っぽく撚糸し、嵩高(同じ毛の分量でもボリューム感がでる)で、空気層を含むので、温かく、ツイードジャケットに使用されます。 日本人は、紡毛のチクチクが苦手な人が多く、肌が赤くなる、アレルギー反応のように痒くなるなどで、あまり向いていません。 弊社の資料ですと、昭和50年にはウール&アクリルの紡毛の平織の設計、加工指示が残っていますので、ウール&アクリルツイードとして市場に出ていたと思われます。 そうそう、写真撮りをすると、発色がさえ、人が良いなと思う輝きをあることを付け加えておきます。

2023年9月6日水曜日

ベリーニ Sincol 椅子生地の紹介



アクリルが椅子張り向きの化学繊維と言われる所以は、ウールを模した化繊であること。 故に、短繊維が普通で、長繊維のアクリルは可也珍しい。 当社においてもアクリル=短繊維でありますし、一般論でそう結論して外れません。

ベリーニは、厚みを感じるザックリとした糸が織りなす柄で、薄い背や座でも、椅子のデザイナーが意図したデザインに近づけてくれます。 

カチオン染料で染め上げ、とても発色が良く、ポリエステルの様に色が沈まない特性がある。 今は椅子張り専用にひいた国産のアクリルはなくなり、ポリエステルを使わざるを得ないのが現状であるが、この商品はアクリルも使用している。

今回のサンプル帳は、廃番ロスをなくすためのスタンダード品づくりというテーマがあり、どうしても鮮やかに映えるアクリル繊維を入れたかった。
丈夫であること、多色にしても飽きないこと、何よりも椅子に張ったら初めて、2倍、3倍と椅子を引き立てる良質な椅子張り企画をしないとならなかった。

50色以上の最終候補から実際に板に張って38色を選び、多くの椅子張り職人に張ってもらい、アクリルの本質を改めて理解してもらえると嬉しい。 尚、アクリルを使用するにあたっては、今や高級素材。 高額でもあり41%を入れることした。 残りはポリエステルだが、上手にマッチングさせて、20%を越える値上がりがあっても、上代で4900円/mと可也安く抑えることができた。

椅子の形状は起伏やカーブ、立体が強いフォルム。 椅子に張ってこその商品、それがシンコールのベリーニです。 エコテックス認証工場でOEM製造したエコテックス商品であります。

コロナ禍の値上前の上代相当なら、3,000円台であるが、その時はその時で、その価格では難しかっただろう。 運賃や包装紙も凄い値上。 値上どころか、もう荷物は要らないからと運送会社にお断りされる位、信用取引が崩壊するような言葉が飛び交う。 本当に、可哀そうな業者だとして、国が応援するような態度の業者だろうか。 現実どれだけ強気な営業をしているか監督官庁に確認してもらいたい。

デジタルカタログはこちら
https://www.sincol-group.jp/digitalcatalog/textile2023/#page12
 



引っ越ししました。

 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。