同業他社さんが、どうしたら売れるか、という調査をしているというので、それ以前に大切なことを一つ。 売る前に、品質をしっかり担保して、国産の業務用家具の品質イメージを傷つけないことです。
写真は、リニューアルして1年のホテルのロビーの椅子に使われていた、その同業他社さんのサンプル帳商品です。 手が当たるところの糸が全部抜けて真っ白、つまり、地糸が露出しています。
抜けるほど甘く撚るから、風合いもいい。
素材も、柔らかくて、色合いもいい。 でも切れてしまう。
それって、大行列で海外の展示会に行って、メーカーが作ったのを見て、これ良いねという感想で選んでるだけですね。
ハッキリ言って、カーテンと全く違う。
下着に使う布とカーテンの布が同じかと言われたら、違うというでしょう。 それくらい、椅子も違う。
耐久性が無くては、どんな使われ方するか判らない。
白黒は、より抜けた糸が見やすいように加工したものです。
まず、作りこみをしなくちゃなりません。 今では開発、特に品質の作りこみで、2年かけるのは当たり前。 きれいだとか、風合いがいいとか、それは選考基準になりません。
そして、デリバリーが始まれば、抜き取り検査を何度も繰り返す。 色があっていることよりも、物性が基準値であるかどうか、対処すべきです。 問題があれば、糸や組織を変えて、バージョンアップを繰り返す。
サンプル帳での、椅子張りの必要とされている機能は、耐久性です。 個別開発なら、もちろん、物性が弱くても、相手の言うとおり作るのですから、物性が悪いという説明責任を果たしていれば問題はありませんが。
同じ空間の当社のものは、全く痛んでいませんでしたが、メインの椅子が写真の様子では、ホテルの品格を落としてしまいます。