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2018年1月30日火曜日

新レザー商品 ガルネリ

2018年1月発刊の椅子張り用 新レザーサンプル帳 Furnishing Leather 18-21
冒頭の商品開発 ガルネリ について

良く聞かれるのが、新サンプル帳の冒頭の商品は、最初の頁に来る新商品を意図して企画開発するのか? という質問です。
応えは、YESでありNOです。 開発テーマは、自分の足で稼いだ市場の情報及び2年前に設定されるカラートレンドの過去数年分の実態分析を中心に構成されます。 企画開発部にて独自のトレンドを出して、開発テーマとトレンドをぶつけて、開発する商品毎にコンセプトや合格点の設定をします。 

商品開発中は売れるか売れないかという点を考慮していると、何時までも合格が出せず、いつまでも開発が終わらないので、コンセプトシートを作る段階で、合格点を決めておきます。 合格点以上に成って、こだわりすぎても、芸術品化するだけで実用性と関係が無いことが殆どです。 企画開発担当者は、学生時代を含めて継続的に美術を勉強しているため、時に芸術品を作ってしまう悪い癖があります。 私も毎年美術に関してテーマを決めて勉強していますから、私とてそういう罠にはまった経験があります。

前サンプル帳からこのサンプル帳開発迄の美術勉強では、伊藤若冲、東山魁夷、イタリア美術、民芸運動でした。 自分が消化するまで取材を重ねているので、筆のタッチまで頭に入っています。 皆さんは、筆をどちらに動かしたかなんて興味が無いと思いますが、利き手とブラシの方向、勢い、色材の粘度などで、表現が全く変わります。 其々のエッセンスを得るためには、表現方法とその結果を読み解くのが大事ですし、美術品の見方が人それぞれで、楽しさの違いなわけです。

ガルネリは、絵に数か月かけています。 基絵は、まる描いて、ここにこんな鳥、ここにこんな花、織物でいうと何番手の糸を縦糸に4色使い、280本打ち込む色彩とか、本当にバックりな指示です。 次に鳥の種類が企画から提案され、選定し、大方の材料がそろった段階で絵を書く工房に依頼。 手書きで第二弾の基絵にアップし、さらに工房に具体的に羽の印象や色度の違いを修正してもらいます。 第三段階迄で凡そ3ヶ月。 今度は、椅子張のテキスタイル企画の出番です。 椅子のサイズ、タイプを選定して、鳥の大きさや向き等を決めてリピートに直します。 絵のパーツを拡大縮小しながら切り貼りして、椅子向けのデザインに大幅修正するので我々が得意な分野です。 デザインと椅子のリピートは別物です。 こうしてガルネリの第4段階が終了し、今度は、マスクを作ります。 ガルネリでは、綿織物のマスクを掛けて、図柄自体を織組織の凹凸のかげを入れます。 

次に舛見本。 色んな色のパターンを作り、A4サイズ位に色を変えて、プリントしてレザーの上での発色性を確認しながら色修正を繰り返します。 最初の色は1色しか作っていませんから、本当の色付け作業はこの段階といっていいでしょう。 鳥の色も変えてしまいます。 基準は、私の気分というくらい誰にもわかりません。 色は基とゼンゼン違うのは当たり前です。  結果的に、タテでも1mのリピートとなり、もし、織物で同じ柄を作った居たら、到底、価格のつけようのない高額な紋紙代がかかる、出来そうで出来ないモノに仕上がりました。 レザーだから出来る柄と言っていいでしょう。 上代は破格の16000円です。 織物でやっていたら、3倍は貰わないと合わないというか、3倍でもやりません。 労力に会わない。

商品名のガルネリは、ガルネリ一家が製作し残存数が少ない超プレミアム・バイオリンの名称から頂きました。 五嶋みどりさんが使用していますね。 非常に暖かく伸びの気持ちいい音色です。 買えないレベルの高額品ですので、財団所有してバイオリニストに貸与するような楽器です。 是非、無名の工業デザイナー集団、工房 惹伽銑(じゃかずく)が、持てる力を注いだ貴重な柄をお楽しみ下さい。

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 個人でレンタルサーバーを借りて、引っ越ししました。 結構、お金が掛かりますが、HPの自由度が増すので決意。 より、知識重視にしています。  張替えてんやわんや というブログ名です。 https://sya-cho.blog/ 是非、引き続きご愛好をお願いします。