先日、丁寧な仕事をする業務用椅子ブランドメーカーさんが破産しました。
ヨーロッパの曲木の老舗の総代理店としても有名でした。 柄合わせが微妙にずれているだけでも張りなおす現場には関心していましたし、丁寧さで抜群の現場でした。
しかし、兼ねてから私共社内では、ここがダメだねという点で、何時か足を引っ張るとして報告項目になっていたことがあります。
それは、輸入ファブリックの在庫です。 仕事が順調な数年があると、流動比率が改善し、現金保有が増加します。 結構な額まで育つので、経営陣は自社をお金持ちと錯覚する。 実際には、事業ですから、究極に悪くなることがあるものです。 そうしたときに、主業である椅子の販売に力をいれるお金が、材料の在庫に変わっていて、どうにもならない事態になっているものです。 小さければいいのですが、輸入ファブリックは、思っているよりもコスト増につながっています。 関税など先払いして現金が出ていくので将来価値の方が現在価値より安くなってしまう、3色やれば2色は死に在庫になり、回転しているようで実はその資金が寝ていて、資本的な活動をしてくれないのです。
我々の同業のファブリックの専門会社の殆ど倒産していったのは、回転の悪さと死に在庫。 現在とて、我々プロが細心の注意を払って、商品の出入を監視している位怖いのです。
某破産メーカーには、使わなかったファブリック、数メートルの残骸などが山の様にありました。 おそらく、仕入よりも、かなり高く売ったので回収していると思いこんでいるでしょう。 その利益は、その年の他の経費で消え、利益になっていても半分はその年の税に消え、今あるものは現金の様に帳簿に乗る。
55年近い経営の中で、たくさんの浮き沈みを見てきましたが、企業には必ず危機的に悪くなる時があるものです。 その時に、使うべきお金なんなのか。 その使うべきお金こそが、普段から活動につかうべきお金の使い方。 直接輸入すると安いと勘違いして、前払いして在庫するべき物ではないのです。 過去、輸入ファブリックの直買に手をだした企業で、一時に悪くなると、その多くは、その在庫を弊社に引き取って、弊社でデリバリーしてくれと依頼してきました。 実際に、引き受けてきましたし、常に引き取る用意があります。 結果的に、当時はあれだけ売れていたのに、今はデッドストックだな、という山を二束三文で引き取り、その殆どを処分することになるのです。
椅子資材開発30年、日本一の椅子資材を開発する部隊の指揮者が、すわる、ねるの2つの姿勢を通して、商いの目で様々な出来事をつづる、思いあるブログ いすのことなら 椅子の張替えの話題や新規の案件、レザーとは、テキスタイルとは、椅子とは、すわるとは、ねるとは、様々な話題で楽しめます。 あしたは晴れかな曇りかな。
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