今年に入って、椅子張り地の専門ブローカーの、DOKO(大阪)、サカタ(東京)が倒産した。
商い規模で両者で16億ぐらいだろうか。 どうして、倒産するのだろうか。
椅子製造の産業で生計を立てている、または、携わる方々に講義するのではなく、私的感想を述べておきたい。
売れるものを売るだけ:
D社からすれば、テキスタイルが売れていると、つい、レザーは売れないからテキスタイルと手をだす。 綿、糸、キバタ、製品、それぞれに在庫がいるし、国産で安価は皆無。 海外に現金先払いで購入し、資金繰りが2-3年とやるうちに、厳しくなっていく。 テキスタイルは、金融業と言っていい。 取引先から手形でもらっていたら、綿から始まって現金になるまでに1年かかる。 1年分の資金があるのか? 無いなら、手を出してはいけない。 これを知らない。
S社からすれば、レザーが売れていると、つい、テキスタイルは売れないからとレザーに手をだす。 回転はテキスタイルと比較にならない位良い、在庫も廻る。 が、単価が安い分、運賃など必要経費の比率が高くなる。 これを見落として、テキスタイルの利益ぐらいで走ってしまう。 型押しのロールを一本彫れば、200-300万は当たり前にかかる。 安い商品では回転だけではなく、総合的な量がいる。 年間10万mを10年売らないと、売れない分のロール代が償却が出来ない。 これも見落とす。 こちらは、5-6年くらい経ってからボディーブローの様に資金繰りに苦しむ。
両方手を出せば、両方まわすだけの銭が必要なのです。 売れないから、手を出すというきっかけも問題。 利益がない商売になるのがわかっていて、どうしてその時点で廃業しないのか。 それは、我々のような大手が利益をだしているからだろうか。 我々の利益の根源は、無借金であること、土地建物が自分のであること。 借りたお金では開発まで担う卸売はできないのです。
椅子張りといっても、PVCかPU樹脂でできたレザー、または、織物がある。
D社はレザー主体で、S社は織物主体であり、同じ椅子張りであっても、納期や工場の規模などが全然違い、全く違う産業である認識が、使う側にもない。 安く持ってきたら、買ってやるは良いが、だれからでも持って来いというのは、商人としては、取引を控えさせていただくパターンでしかない。
レザーは、化学品であり、中身が違っていても、見た目が同じであるため、チートし易い。 それだけに信用のおける国産は保証ができる中身である。 反対に、他国製造品が到底保証付とは思えない。 私は、島精機の分光試験器を保有していて、レザーの中身の分子の種類や量を計測できる。 現実、問題を起こした調べて欲しいと依頼があるものをこの試験器にかけると、鉛やクロムはあたりまえ、イタイイタイ病の元である禁止物質のカドミウムが検出されることもある。 椅子を作った人は、告発されたら、リコールして支払えるのだろうか。 大変疑問である。 倒産するようなブローカーに、それをどう担保させたのか教えて欲しい。 きっと最初から担保できてないことを感じていた、ただの安物買いではないか。 告発するような商品が私の試験記録に残っていたらどうするのだろうか。
また、レザーの専門家である私が海外は怖いといっているのに、テキスタイルの専門ブローカーが手を出せる分野であるわけがない。 それなのに、海外品は安くていい、レザーを知っている人が作らせたから問題ないと言い切っていたのを思い出す。 問題は、設計図ではなく、チートする工場をどう管理するかのほうである。
かといって、日本のレザーは大きな工場で作られており、信用の無い会社がやすやすと取引できるわけではない。 300mください、ハイわかりましたという様な設備ではない。 100m級のラインで、300mなんてよそ見をしてる間に製造が終わっているような数量だ。 数万mの発注を入れる、それだけ良質の財務内容を持つブローカーなどいないだろう。
そして、ブローカーの責任のない立場で海外品に手を出す。 → 問題を起こす → 保証を求めらえる → 信用問題の噂になる というパターンを何度も見てきた。
最近、サンプル帳を発刊するブランドが、椅子張りテキスタイルを1000円以下で持ってきたら買ってやるという話を聞いた。 そんな安価なジャガードで、日本が豊になるのだろうか。 原価は私が詳しく知っている。 それを4倍‐6倍の上代を付けて売るっていうから、言いたくなる。 その程度の織物なら、大手の家具小売店が海外で自分で作って輸入する安物の家具に使われている布のレベルと変わらないじゃないかと。 そんなのを国産椅子や張替に使って、どうして、張り替えた人が豊になるのだろうか。 資材の大手がこれでは、産業の行末に、大変疑問に思わざるをえない。
私は、豊かになる資材の提供を続け、それでも、高いからいらないと言われたら、土俵から退場する。 はっきりとした方針を打ち出している。
椅子資材開発30年、日本一の椅子資材を開発する部隊の指揮者が、すわる、ねるの2つの姿勢を通して、商いの目で様々な出来事をつづる、思いあるブログ いすのことなら 椅子の張替えの話題や新規の案件、レザーとは、テキスタイルとは、椅子とは、すわるとは、ねるとは、様々な話題で楽しめます。 あしたは晴れかな曇りかな。
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