PVCやPUレザーの企画をするとき、本革ライクの要素を入れたいケースがあります。
その時は、もちろん、世界中から集めている最先端の皮革のサンプルを参考にすることもあるのですが、結局、工場サイドのテスト版を作るときには言葉に変換しなくてはなりません。 参考にするというのは、本物そっくりにつくるというテクニックは、実は本物をコピーするほどできないのです。 素材が違うので当然ですけれど。 要素だけを取り出して、その要素を入れてあげることが大事。
例えば、しわ。 個体其々違うのですから、人がみて、違和感のないしわを作りあげるのです。
作るのは工場です。 全く同じのをつくるのではなく、ある1点2点の雰囲気だけのことですから、工場に現物を見せても理解してくれません。
そこで、デフォルメ作業が必要になります。 なめしただけの革に色を重ねながら、イメージを具現化していきます。 艶あり艶消しも、ここで仕上げていきます。 ラッカーも使いますよ。
その後で、社内のスタジオで撮影します。 撮影は、調光した環境下やフラッシュの光で、質感を確認するためだけです。レンズを通してみたものは、判断に客観性を加えてくれるので、無謀に走らないブレーキとなります。
一発で良いものが上がることはありません。 イメージ通りに作品が出来て、それが量産化できるほど簡単ではないのです。 工場の設備や化学品などの特徴を活かしていかないと本当に良い物はできないので、技術の打ち合わせも必要です。
デザインといっても、絵描きではないのです。 美術学校出ているから出来るものでもないし、センスが良いから出来るものでもない。 製造工程を熟知してできる仕事なのです。
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